廃棄物を処分する場合、運搬と処分の許可を持った業者に委託をしなければいけません。
しかし、有価物(経済上の価値のある有体物で、他人に有償で売却できるもの)の場合は運搬の許可などは不要です。
例えば、廃棄予定のものを1円で買い取って、買い取ったものを処分するための運送費などをもらって、処分場に持って行くとします。
買い取ったものは廃棄物ではないので、無許可で運んでも良いのではと思われるかもしれませんが、買い取ったものであっても「廃棄物」と判断される場合があります。
判断基準はいくつかありますが、「取引価値の有無」は重要な判断基準となります。(判断基準に関しては『廃棄物該当性』で詳しくご説明していますので、ご参照下さい)
売却代金と運送費などの名目の請求とを相殺すると排出事業者側に経済的損失がある場合を「逆有償」(又は「手元マイナス」)と言います。
例えば、Aさんが不要なタンスを1円で業者Bに買い取ってもらったとします。
業者Bが買い取ったタンスの運送費などの名目で1万円請求した場合、Aさんは売却代金と運送費を相殺すると9,999円のマイナスになります。
物を売った側のAさんがマイナスになることを「逆有償」と言います。
この逆有償を認めてしまうと、無許可業者が実質上の廃棄物を運搬、処理してしまう可能性がでてきてしまいます。
そのため、「単純に有償取引が成り立つことのみをもって廃棄物ではない」ということにはならず、自治体によって総合的に判断されます。
大阪府のHPでは以下のような掲載があります。
排出事業者が運送費を負担する場合
売却代金と運送費を相殺しても排出事業者側に経済的利益があること。すなわち、受入事業者が運送費相当額以上の対価を払って購入すること。
(注) 運送費は委託運搬による場合は運搬委託料金とし、自ら運搬する場合は運搬に要する実費とする。受入事業者が運送費を負担する場合
大阪府HP Q15 廃棄物か有価物かをどのようにして判断すればよいのか?
受入事業者が排出事業者に対価を支払うこと。支払われる対価は、経済合理性に基づいた適正な対価として、受入事業者と排出事業者が協議のうえ合意した額であること。(対価は必ずしも金銭で支払われなくてもよい。)