廃棄物の該当性については、一般廃棄物については市町村が、産業廃棄物については都道府県が適切に判断すべきものです。

平成 11 年3月 10 日最高裁判所第二小法廷において、廃棄物とは、占有者が「自ら利用し又は他人に有償で譲渡することができないために事業者にとって不要になった物をいい、これら該当するか否かは、「その物の性状」、「排出の状況」、「通常の取扱い形態」、「取引価値の有無」及び「事業者の意思」等を総合的に勘案して決するのが相当」とされています(総合判断説)。

また、同主旨のことが、「行政処分の指針について(通知)」(平成 25 年3月 29 日付け環廃産発第 1303299 号)においても示されています。

つまり、「単純に有償取引が成り立つことのみをもって廃棄物ではない」ということにはならず、自治体によって総合的に判断されます。

さらにこの通知では、取引価値の有無について、「占有者と取引の相手方の間で有償譲渡がなされており、なおかつ客観的に見て当該取引に経済的合理性があること。実際の判断に当たっては、名目を問わず処理料金に相当する金品の受領がないこと、当該譲渡価格が競合する製品や運送費等の諸経費を勘案しても双方にとって営利活動として合理的な額であること、当該有償譲渡の相手方以外の者に対する有償譲渡の実績があること等の確認が必要であること。」とされています。

廃棄物該当性の判断について

【行政処分の指針について(通知) 平成 25 年 3 月 29 日付け、環廃産発第 1303299 号】

(2) 廃棄物該当性の判断について

① 廃棄物とは、占有者が自ら利用し、又は他人に有償で譲渡することができないために不要となったものをいい、これらに該当するか否かは、その物の性状、排出の状況、通常の取扱い形態、取引価値の有無及び占有者の意思等を総合的に勘案して判断すべきものであること。

廃棄物は、不要であるために占有者の自由な処理に任せるとぞんざいに扱われるおそれがあり、生活環境の保全上の支障を生じる可能性を常に有していることから、法による適切な管理下に置くことが必要であること。

したがって、再生後に自ら利用又は有償譲渡が予定される物であっても、再生前においてそれ自体は自ら利用又は有償譲渡がされない物であることから、当該物の再生は廃棄物の処理であり、法の適用があること。

また、本来廃棄物たる物を有価物と称し、法の規制を免れようとする事案が後を絶たないが、このような事案に適切に対処するため、廃棄物の疑いのあるものについては以下のような各種判断要素の基準に基づいて慎重に検討し、それらを総合的に勘案してその物が有価物と認められるか否かを判断し、有価物と認められない限りは廃棄物として扱うこと。

なお、以下は各種判断要素の一般的な基準を示したものであり、物の種類、事案の形態等によってこれらの基準が必ずしもそのまま適用できない場合は、適用可能な基準のみを抽出して用いたり、当該物の種類、事案の形態等に即した他の判断要素をも勘案するなどして、適切に判断されたいこと。

その他、平成 12 年7月 24 日付け衛環第 65 号厚生省生活衛生局水道環境部環境整備課長通知「野積みされた使用済みタイヤの適正処理について」及び平成 17 年7月 25 日付け環廃産発第 050725002 号本職通知「建設汚泥処理物の廃棄物該当性の判断指針について」も併せて参考にされたいこと。

ア 物の性状

利用用途に要求される品質を満足し、かつ飛散、流出、悪臭の発生等の生活環境の保全上の支障が発生するおそれのないものであること。

実際の判断に当たっては、生活環境の保全に係る関連基準(例えば土壌の汚染に係る環境基準等)を満足すること、その性状についてJIS規格等の一般に認められている客観的な基準が存在する場合は、これに適合していること、十分な品質管理がなされていること等の確認が必要であること。

イ 排出の状況

排出が需要に沿った計画的なものであり、排出前や排出時に適切な保管や品質管理がなされていること。

ウ 通常の取扱い形態

製品としての市場が形成されており、廃棄物として処理されている事例が通常は認められないこと。

エ 取引価値の有無

占有者と取引の相手方の間で有償譲渡がなされており、なおかつ客観的に見て当該取引に経済的合理性があること。

実際の判断に当たっては、名目を問わず処理料金に相当する金品の受領がないこと、当該譲渡価格が競合する製品や運送費等の諸経費を勘案しても双方にとって営利活動として合理的な額であること、当該有償譲渡の相手方以外の者に対する有償譲渡の実績があること等の確認が必要であること。

オ 占有者の意思

客観的要素から社会通念上合理的に認定し得る占有者の意思として、適切に利用し若しくは他人に有償譲渡する意思が認められること、又は放置若しくは処分の意思が認められないこと。

したがって、単に占有者において自ら利用し、又は他人に有償で譲渡することができるものであると認識しているか否かは廃棄物に該当するか否かを判断する際の決定的な要素となるものではなく、上記アからエまでの各種判断要素の基準に照らし、適切な利用を行おうとする意思があるとは判断されない場合、又は主として廃棄物の脱法的な処理を目的としたものと判断される場合には、占有者の主張する意思の内容によらず、廃棄物に該当するものと判断されること。

(以下略)