庭の木を切ったのに、地面に切り株が残ったままになっていませんか。
切り株の下には、木を支えていた根がそのまま埋まっています。
この切り株と根を掘り起こして取り除く作業を「抜根(ばっこん)」といいます。
この記事では、抜根が何をする作業なのか、伐採とどう違うのか、どんなときに必要になるのかを整理します。
抜根が必要ないケースにも触れます。切り株が残っていても差し支えない場所なら、費用と手間をかけて抜く理由はありません。
抜根とは|切り株を根ごと取り除く作業
抜根は、伐採したあとに残った切り株を、地中の根ごと掘り起こして撤去する作業です。
国語辞典では、木などの根を抜くこと、特に立ち木を伐採したあとに残る切り株を取り除くこと、と説明されています。
出典:小学館『デジタル大辞泉』「抜根」
公的な文書にも登場する言葉です。
国土交通省の「建築物解体工事共通仕様書 令和4年版」を見てみます。
3章11節に、樹木等の伐採抜根及び移植は特記による、と定められています。
出典:国土交通省「建築物解体工事共通仕様書 令和4年版」3章11節
「特記による」とは、個別の設計図書で実施の有無を決めるという意味です。
解体工事だからといって、抜根が必ず行われるわけではありません。
なお、この仕様書は官庁施設等の解体工事を対象としたものです。
住宅の庭に適用される決まりではありません。
それでも、「抜根」が国の仕様書で使われる言葉であることは確かめられます。
伐採との違い
伐採と抜根は、作業する範囲が異なります。
表1: 伐採と抜根の違い
| 項目 | 伐採 | 抜根 |
|---|---|---|
| 作業する範囲 | 地上に出ている幹 | 地中の切り株と根 |
| 作業後の状態 | 切り株が残る | 地表から切り株がなくなる(地中に細い根が残る場合がある) |
| 主に使う道具 | のこぎり、チェーンソー | スコップ、つるはし、重機 |
| 作業の順序 | 先に行う | 伐採のあとに行う |
伐採は、幹を根元の近くで切り倒す作業です。
切り株と根は地面に残ります。
抜根は、その残った切り株を掘り起こす作業です。
ただし、地中の根が完全になくなるとは限りません。
細い根や、作業範囲の外へ伸びた根は残ることがあります。
依頼するときは、どの深さまで、どの太さの根を取り除くのかを確認してください。
抜根を行うには、先に幹を切る作業が必要です。
ふつうは枝葉と幹の大部分を落としてから掘り起こします。
ただし、引き倒すときのてことして使うため、幹を一定の高さまで残す方法もあります。
伐採と抜根の両方を行う場合、作業は2工程になります。
「伐根」「除根」との使い分け
「伐根(ばっこん)」「除根(じょこん)」という言葉を目にすることがあります。
同じ意味だと断定できる公的な根拠は確認できませんでした。
それどころか、「伐根」は資料によって指すものが違います。
表2: 公的文書での用例(2026年8月時点)
| 語 | 使われている文書 | 指しているもの |
|---|---|---|
| 伐採抜根 | 国土交通省「建築物解体工事共通仕様書 令和4年版」3章11節 | 根を取り除く作業 |
| 人力伐根歩掛 | 中部森林管理局「森林整備保全事業標準歩掛」令和8年4月 | 根を取り除く作業 |
| 伐根直径/伐根からの萌芽 | 北海道立総合研究機構 林業試験場「光珠内季報」第116号 | 伐採後に残った切り株そのもの |
同じ「伐根」でも、作業を指す場合と、切り株そのものを指す場合があります。
つまり、言葉だけでは、どこまで取り除くのかが決まりません。
見積書や打ち合わせで言葉が食い違ったときは、意味を推測せずに作業の中身を確認することをおすすめします。
「根をどこまで取り除くのか」「掘った穴をどうするのか」を具体的に確認すれば、言葉の違いは問題になりません。
抜根が必要になる場面・不要な場面
抜根が必要かどうかは、木を撤去したあとの土地をどう使うかで決まります。
判断の材料を3つに整理します。
【ポイント1】土地を別の用途に使う予定がある
駐車場にする、花壇や畑にする、物置を置く、建物を建てる。
こうした予定がある場合、地中に残った根が支障になることがあります。
ただし、予定があれば必ず抜根が必要というわけではありません。
必要かどうかは、次に作るものの位置と設計条件によって決まります。
切り株を避けて整地したり、施工範囲の外に残したりできる場合もあります。
前述のとおり、国土交通省の解体工事共通仕様書も、樹木の伐採抜根を特記によるものと定めています。
同じ仕様書は、解体後の敷地について地均しを行うと定めています。
出典:国土交通省「建築物解体工事共通仕様書 令和4年版」3章13節
土地を次の用途に引き渡すには、地面を整える工程が入ります。
その工程で切り株をどう扱うかを、事前に決めておく必要があります。
【ポイント2】切り株から新しい芽が出る可能性がある
伐採後、切り株から芽が出て再び育つことがあります。
これは林業では「萌芽更新(ほうがこうしん)」と呼ばれ、森林を再生させる方法として使われてきました。
国語辞典では、樹木を伐採し、その切り株や木の根元から伸びた萌芽が生長して新たな樹林を構成する方法、と説明されています。
出典:小学館『デジタル大辞泉』「萌芽更新」
萌芽は主に広葉樹で見られる現象です。
北海道立総合研究機構の林業試験場が報告しています。
大半の広葉樹に伐採後の萌芽がみられ、なかでもコナラ属の樹種でその能力が高いと報告されています。
伐根から芽が出る能力には樹種による差があることも、同じ報告で示されています。
出典:北海道立総合研究機構 林業試験場「光珠内季報」第116号・佐藤俊彦「萌芽更新を利用した広葉樹林の施業」
ただし、この報告は北海道の広葉樹林を対象にした林業分野の調査です。薪炭林やしいたけ原木林の施業を想定しており、住宅の庭木のデータではありません。
樹種ごとの傾向は、庭木にそのまま当てはまるものではない点にご留意ください。
芽が出て育つと、伐採した意味がなくなります。
再び芽が出ると困る場所では、抜根を検討する理由になります。
【ポイント3】抜根しなくてよい場合
以下に当てはまるなら、抜根は必ずしも必要ではありません。
- 木を撤去したあとの土地に、特に使う予定がない
- 切り株の位置が通り道から外れており、作業や通行の妨げにならない
- 建物の基礎や配管から離れている
切り株を残すという判断は、費用を抑える選択肢になります。
伐採だけで済ませ、必要が生じてから抜根を検討する進め方もあります。
抜根の方法
根株を掘り起こす方法は、大きく2つに分かれます。
あわせて、切り株を残したまま処理する選択肢もあります。
根株を掘り起こす方法
掘り起こす場合、人力と重機のどちらを使うかが分かれ目になります。
表3: 根株を掘り起こす方法
| 方法 | 向いている場面 | 必要なもの | 制約 |
|---|---|---|---|
| 人力で掘り起こす | 細い木、重機が入れない場所 | スコップ、つるはし、のこぎり | 根が太いほど時間がかかる |
| 重機で掘り起こす | 太い木、本数が多い場合 | 重機と搬入経路 | 重機が入るスペースが必要 |
切り株を残して処理する方法
すぐに撤去する必要がない場合、切り株を残したまま処理する選択肢もあります。
薬剤で枯らす、自然に腐るのを待つ、切り株を粉砕する、といった方法です。
これらは抜根ではありません。
根株を物理的に取り除く作業とは別のもので、撤去が必要になった時点で改めて作業が発生します。
再び芽が出るのを抑えたい、時間をかけて分解させたい、という目的には向いています。
薬剤を使う場合の注意
農薬として使う場合は、農薬登録を受けた製品を選んでください。
ラベルに記載された対象植物・使用場所・使用量・使用方法に従う必要があります。
登録を受けていない農薬を、樹木を含む農作物等の栽培や管理に使うことはできません。
購入前と使用前に、製品ラベルの記載を必ず確認してください。
太さが増えると作業量が跳ね上がる
抜根の手間は、根株が太くなるほど急に増えます。
公的な積算基準がこの傾向を示しています。
中部森林管理局の「森林整備保全事業標準歩掛」は、人力による伐根の作業量を、伐根直径で3区分しています。
表4: 人力伐根の作業量(1本当たり)
| 区分 | 伐根直径 | 普通作業員 |
|---|---|---|
| 1種 | 20〜50cm | 0.4人 |
| 2種 | 50〜80cm | 2.5人 |
| 3種 | 80cm以上 | 5.5人 |
出典:中部森林管理局「森林整備保全事業標準歩掛 第1編 共通工・第2編 治山」令和8年4月・114ページ
伐根直径が50cmを超えると、作業量が6倍以上に跳ね上がります。
80cm以上ではさらに2倍以上です。
なお、この基準は森林整備保全事業に用いるもので、住宅の庭にそのまま当てはまるものではありません。
また「伐根直径」は切り株の切り口の直径であり、幹周りとは別の数値です。
それでも、根株が少し太くなるだけで手間が大きく変わるという構造は共通します。
抜根が伐採より費用がかかる理由は、ここにあります。
重機が入れるかどうかが分かれ目
現場を見るとき、最初に確認するのは重機の搬入経路です。
門扉の幅、通路の幅、地面の状態、電線の位置。
このどれかが条件を満たさないと、重機が使えません。
重機が入れない場所では、太い木でも人力で掘ることになります。
同じ太さの木でも、現場の条件によって作業時間が大きく変わるのはこのためです。
見積りを取る際は、現地を見てもらったうえで判断してもらうことをおすすめします。
抜根の注意点
抜根には、掘ってみないと分からない要素があります。
事前に把握しておきたい点を4つ挙げます。
【リスク1】地中の埋設物
根は、水道管・ガス管・排水管・電線の周囲にも伸びます。
国土交通省の解体工事共通仕様書にも、この点の定めがあります。
周辺の地上および地下にある既設構造物や既設配管等に支障をきたさないこと。
そのための施工方法を定めるよう求めています。
出典:国土交通省「建築物解体工事共通仕様書 令和4年版」1章3節
掘る前に埋設物の位置を確認してください
図面が残っていれば用意しておくと、作業の判断が早くなります。
位置が分からない場合は、掘り進める前に確認する方法がないかを検討してください。
【リスク2】建物の基礎・擁壁に近い場合
根が建物の基礎や擁壁、ブロック塀に接している場合があります。
無理に引き抜くと、構造物を傷めるおそれがあります。
この場合、根の一部を残す判断になることがあります。
すべての根を取り切ることが常に正しいわけではありません。
【リスク3】抜いた後に地面が沈む
根株を抜くと、その体積分の空間が地中に生じます。
そのまま放置すると、時間の経過とともに地面が沈みます。
前述のとおり、公的な仕様書でも解体後の地均しが工程として定められています。
抜根は「抜いて終わり」ではありません。
埋め戻しと整地までを含めて依頼するかどうか、事前に確認してください。
【リスク4】抜いた根株の扱い
抜いた根株は、そのまま敷地に置いておくわけにはいきません。
扱いは、誰が作業したのか、どのような工事に伴って出たのかによって変わります。
お住まいの地域や作業の内容によって、確認すべき窓口も手続きも異なります。
処分の前にご確認ください
根株の扱いについては、お住まいの市町村の廃棄物担当部署にご確認ください。
工事に伴って発生した場合は、都道府県の担当部署が窓口になることもあります。
事業者に依頼する場合は、その事業者がどのように処理するのか、必要な許可を持っているのかを確認してください。
廃棄物の収集運搬を業として行うには、区分に応じた許可が必要です。
よくある失敗
事前に知っておくと避けられるものを2つ挙げます。
1つ目は、根が途中で切れて地中に残ることです。
太い根を引っ張ると、細い根が千切れて地中に残ります。
すべての根を取り切ることは現実には難しく、細い根が残ること自体は珍しくありません。
問題になるのは、太い根が残った場合に、あとから地面が沈んだり、次の工事に支障が出たりすることです。
どこまで取り除くのかを、作業前にすり合わせておくと食い違いを防げます。
2つ目は、想定より時間がかかることです。
表4のとおり、根株が太くなると作業量は急に増えます。
半日で終わると見込んでいた作業が、掘り始めてから根の広がりが分かり、大幅に延びることがあります。
自分で作業する場合は、1日で終わらせる前提を置かないほうが安全です。
まとめ
- 抜根は、伐採後に残った切り株を根ごと掘り起こす作業です。伐採が「幹を切る」ところまでなのに対し、抜根は地中の根まで取り除きます。ただし細い根が残ることはあります
- 必要かどうかは、次に作るものの位置と設計条件で決まります。使う予定があっても、切り株を避けて施工できる場合があります
- 根株が太くなると作業量は急に増えます。公的な積算基準でも、伐根直径50cmを境に作業量が6倍以上になります
草刈り・草抜きの無料見積はこちら

株式会社サンクルでは埼玉県西部・北部の草刈り・草抜きをおこなっています。
お見積りの後に営業電話などは一切致しませんので、お気軽にご相談ください。


