遺品整理をしようとして「エンディングノートって言葉は聞いた事があるけど、うちの母さんもエンディングノートって書いていたのかしら?」と疑問に思われた方もいらっしゃるかもしれません。
エンディングノートは、遺品整理をする際に非常に重要になります。
本記事では、エンディングノートとはどのようなもので、なぜ遺品整理に重要なのかを分かりやすくご説明します。
目次
エンディングノートとは
「エンディングノート」とは、自分の人生の終わりに向けて、様々な思いや情報を書き記しておくノートのことです。
遺言書とは異なり、法的拘束力はありませんが、残された家族や親しい人へのメッセージ、自分の葬儀や埋葬に関する希望、財産やデジタル資産の管理方法、感謝の気持ちなどを伝えることができます。
故人の人生観や価値観を知る
エンディングノートには、故人のメッセージや感謝の言葉、家族への思いなどが綴られていることがあります。
遺族は、ノートを読むことで故人を偲び、心の整理をすることができます。
また、遺品整理をおこなう前に故人の人生観や価値観に触れることで、より深い理解を得ることができます。
遺品の処分方法の意向を知る
エンディングノートには遺品をどこに保管しているか、どのように保管するのか、どのように処分して欲しいかといった故人の遺品の対する意向が書かれている場合が多くあります。
具体的な例をあげて、どのようなことが書かれている可能性があるのかをご説明します。
遺品の保管場所について
エンディングノートには、故人にとって大事な遺品が間違って捨てられたりすることがないように、どこに保存しているかが書かれている可能性があります。
遺品の具体的な場所の記載
- 「自宅2階のクローゼットの奥にある箱の中に、形見分けの品を入れています」
- 「仏壇の引き出しに、大切な手紙を保管しています」
- 「貸金庫の中に、貴金属や重要な書類を入れています。鍵は○○に預けています」
保管方法の指示
- 「湿気に弱いものは、防湿剤と一緒に保管してください」
- 「壊れやすいものは、丁寧に扱ってください」
- 「〇〇の本は直接日の当たらない本棚に保管してください」
遺品の処分方法について
故人にとって、処分して欲しい遺品もあります。
遺族としては捨てて良いのか分からないものも、エンディングノートに書かれていれば、迷うことなく遺品整理を進められます。
処分してほしいもの
- 「日常生活で使うもの以外は、全て処分してください」
- 「古くなった衣類や家具は、リサイクルに出してください」
- 「趣味のコレクションは、○○さんに譲ってください」
処分方法の指示
- 「思い出の品は、写真に撮ってから処分してください」
- 「不用品は、自治体のルールに従って処分してください」
- 「売却できるものは、買取業者に依頼してください」
- 「個人情報が含まれるものは、シュレッダーにかけて処分してください」
特定の人への譲渡
- 「結婚指輪は、娘に譲ってください」
- 「愛用のカメラは、写真クラブの○○さんに譲ってください」
- 「蔵書は、図書館に寄贈してください」
デジタル資産の扱いの意向を知る
デジタル資産の扱いとは、具体的には以下のようなことを指します。
アカウント情報
ブログ、SNSのアカウント、メールなどは亡くなられた後に公開を続けるにしても、削除するにしても、アカウント情報が必要になります。
アカウント情報というのは、パソコン、スマートフォン、SNS、オンラインサービスなどのID、パスワード、秘密の質問とその回答といった情報です。
エンディングノートには、こういったアカウント情報が書かれている可能性があります。
アカウント情報があれば、アカウントの凍結や削除、データの引き継ぎなどがスムーズに行えます。
ブログ、SNSのアカウント、メールなどを亡くなられた後にどう扱うか(公開を続ける、特定の人に管理を委ねる、削除するなど)の指示に従うことで、故人の尊厳を守り、遺族の負担を軽減することができます。
デジタルデータ
エンディングノートには、写真、動画、音楽、電子書籍などのデジタルデータを保存している場所(パソコン、クラウドストレージなど)や、バックアップの有無、アクセス方法などを明記されている可能性があります。
不要なデータの削除依頼などが記載されている場合は、それに従って整理できます。
オンライン上の資産
エンディングノートには、ネット銀行、ネット証券、仮想通貨などオンライン上で管理している資産の存在やアクセス方法が明記されている可能性もあります。
遺産相続の手続きにも関わるものですので、これらの情報がエンディングノートに記されていないかを確認しましょう。
遺族への想いを知る
エンディングノートには、故人からご遺族への気持ちやメッセージが添えられていることもあります。
それは故人からご遺族への心のこもった配慮ということもできます。
- 「形見分けの品は、皆で分け合って、私のことを思い出してください」
- 「不要なものは気にせず処分して、新しい生活を始めてください」
- 「私の遺品を通して、家族の絆が深まることを願っています」
エンディングノートの保管場所
エンディングノートは遺族に自分の意思を伝えるために書くものですので、基本的には見つけやすい場所にある可能性が高いです。
エンディングノートをきれいな状態で長期間保管するために、湿気や直射日光を避けられる場所を選んでいる場合もあります。
また、万が一の災害時にもエンディングノートを守れるよう、火災や水害のリスクが少ない場所を選んでいることも考えられます。
具体的にどのような場所に保管されている可能性があるのかを見てみましょう。
自宅の金庫
セキュリティ面を重視し、エンディングノートを大切に保管したいという思いから、自宅の金庫を選ぶ可能性が高いです。
特に、家族が金庫の存在を知っていて、緊急時にすぐに取り出せる状況であれば、安心して保管できるでしょう。
書斎や寝室の引き出し
普段から整理整頓を心がけている几帳面な女性であれば、書斎や寝室の引き出しに、エンディングノート専用のスペースを設けているかもしれません。
他の重要な書類と一緒に保管することで、紛失のリスクを減らし、必要な時にすぐに見つけられるようにしていると考えられます。
信頼できる家族や友人に預ける
エンディングノートの内容を誰かに知っておいてほしい、または万が一の際に確実に家族に届けてほしいという思いから、信頼できる家族や友人に預ける可能性もあります。
信頼できる家族や友人に、エンディングノートの存在とその保管場所を伝えていることもあります。
銀行の貸金庫
セキュリティ面を特に重視する場合、銀行の貸金庫を利用する可能性もあります。
ただし、費用がかかることや、アクセスに手間がかかるというデメリットがありますので、あまり一般的な方法ではないかもしれません。
エンディングノート専用の保管サービス
近年では、エンディングノートの保管を専門に行うサービスも登場しています。
セキュリティ面やプライバシー保護に配慮されており、安心して保管できる点がメリットです。
まとめ
本記事では、遺品整理でエンディングノートが重要な理由を説明させていただきました。
エンディングノートの書き方は人それぞれですが、保管場所や処分方法が具体的に書かれたエンディングノートがあることで、遺族は迷わずに遺品整理をおこなうことができるということがご理解いただけたのではないかと思います。
故人の意思を尊重するためにも、本記事でご紹介した「エンディングノートの保管場所」を参考に、遺品整理をおこなう前にエンディングノートを探してみることをお勧めします。