所有している空き家と隣の家との境界を越えて木の枝が伸びて、近隣の住民に迷惑をかける危険があります。
越境した草木を放置して近隣住民に迷惑をかけたままにしてしまうと、越境した植物への対応をめぐって、隣人との関係が悪化し、トラブルに発展する可能性があります。
本記事では、隣家に草木が越境した場合のリスク、どのように越境してしまうのか、越境しやすい草木、越境しないための対策を分かりやすくご説明したいと思います。
隣家に草木が越境した場合のリスク
隣家に草木が越境してしまった場合、思いもよらない迷惑をかけてしまう場合があります。
まずは、隣家に草木が越境してしまった場合に、どのようなリスクが発生する可能性があるのかをご説明します。
【リスク1】建物の損傷
越境した枝や根が、外壁、屋根、雨どいなどを傷つける可能性があります。
特に根は、基礎部分に侵入してひび割れを起こしたり、排水管を詰まらせたりする可能性もあります。
【リスク2】日照阻害
大きな木が境界を越えて伸びると、隣家への日光を遮り、室内が暗くなったり、洗濯物が乾きにくくなったりする可能性があります。
【リスク3】落葉・落果
落ち葉や果実が隣家の庭や屋根に溜まり、掃除の手間が増えたり、雨どいを詰まらせたりする可能性があります。
また、腐敗して悪臭を放つ可能性もあります。
【リスク4】害虫・病気の発生源
越境した植物が害虫や病気を引き寄せ、隣家の植物にも被害が及ぶ可能性があります。
【リスク5】景観の悪化
越境した植物が隣家の景観を損ね、精神的なストレスを与える可能性があります。
草木の隣家への越境パターン
草木は「枝」「根」「落葉・落枝」のかたちで隣家に越境するパターンがあります。
【越境パターン1】枝の越境
これらの樹木は、横に広がる枝を伸ばす特徴があります。
放置すると、枝が境界線を越えて隣家の敷地に入り込み、日照を遮ったり、建物を傷つけたりする可能性があります。
【越境パターン2】根の越境
根が境界線を越えて隣家の敷地に入り込むと、以下の問題を引き起こす可能性があります。
根が成長するにつれて、地面を押し上げ、隆起させることもあります。
これにより、隣家の敷地内の通路や庭が押し上げられたなり、通行の妨げになったり、美観を損ねたりする可能性があります。
根が建物の基礎の下に侵入すると、基礎を圧迫したり、ひび割れさせたりする可能性があります。
特に、古い建物や基礎が浅い建物は、影響を受けやすいです。
その他に、根が排水管や水道管に侵入すると、管を圧迫したり、破損させたりする可能性があります。
これにより、水漏れや詰まりが発生し、隣家に迷惑をかける可能性があります。
【越境パターン3】落葉・落枝
これらの樹木は、季節によって落葉や落枝があります。
落ち葉や落枝が隣家の敷地に入り込むと、掃除の手間が増えたり、雨樋を詰まらせたりする可能性があります。
隣家に越境しやすい草木
【隣家に越境しやすい草木1】成長が早い樹木
- ポプラ、ユーカリ、竹、キリなど
これらの樹木は放置すると数年で大きく成長し、枝葉が境界を越えやすくなります。
特に竹は成長が非常に早く、地下茎で繁殖するため、放置すると境界を越えて隣家へ侵入し、駆除が困難になることがあります。
【隣家に越境しやすい草木2】横へ広がる樹木
- シダレヤナギ、カエデ、ツツジなど
これらの樹木は枝が横に広がりやすく、境界を越えてしまう可能性があります。
シダレヤナギは枝が長く垂れ下がるため、注意が必要です。
カエデは大量の落葉があるため、隣家に葉が落ちて迷惑がかかる危険があります。
【隣家に越境しやすい草木3】つる性植物
- ヘチマ、アサガオ、ヤブガラシ、クズなど
つる性植物は、支柱や他の植物に巻き付きながら上へ上へと伸びていきます。
フェンスや塀があっても、それを乗り越えて隣家へ侵入することがあります。
特に、成長が旺盛なヤブガラシやクズは、短期間で広範囲にツルを伸ばすため注意が必要です。
アサガオなど、地面を這うようにツルを伸ばす植物もあります。
境界線を越えて隣家の敷地内に入り込み、花壇や畑などを覆ってしまう可能性があります。
【隣家に越境しやすい草木4】地下茎で繁殖する植物
- ドクダミ、スギナ、ミョウガ、タケニグサ、竹など
地下茎を伸ばして繁殖する植物は、境界線を越えて隣家の敷地内に侵入することがあります。
特に、竹やスギナは地下茎の成長が非常に旺盛で、短期間で広範囲に広がる可能性があります。
隣家の敷地内に侵入した地下茎から、新たな芽が出て、地上部が成長し始めることがあります。
これにより、隣家の花壇や畑などを占領してしまう可能性があります。
【隣家に越境しやすい草木5】背の高い草
- セイタカアワダチソウ、ススキなど
背の高い草は、風によって種子が隣家の敷地内に飛散し、そこで発芽・成長することで越境してしまいます。
特に、セイタカアワダチソウは、綿毛を持つ種子を大量に作り、風に乗って広範囲に拡散するため注意が必要です。
ススキは、地下茎を伸ばして繁殖するため、境界線を越えて隣家の敷地内に侵入することがあります。
地下茎から新たな芽が出て、地上部が成長することで越境してしまいます。
背の高い草は、強風や積雪によって倒れることがあります。
倒れた草が隣家の敷地内に侵入し、植物を傷つけたり、通行の邪魔になったりすることがあります。
隣家に草木が越境しないための対策
隣家に草木が越境しないためには、草木の成長に合わせて定期的に剪定を行い管理することが重要です。
特に成長の早い種類や、境界線に近い場所に植わっている草木は注意が必要です。
植栽している草木の場合、境界線付近には、成長が遅く、高さもあまり出ない種類の植物を選ぶようにしましょう。
また、根が横に広がりやすい植物は避け、境界線から十分な距離を置いて植えるようにしましょう。
境界線にフェンスや柵を設置することで、草木の越境を物理的に防ぐことも予防策の一つです。
枝の越境の対策
適切な樹種の選択と植栽
境界線付近には、成長が遅く、高さがあまり出ない樹種を選びましょう。
また、境界線から十分な距離を確保して植えることも重要です。
定期的な剪定
定期的に剪定を行い、枝が境界線を越えないように管理しましょう。
特に、成長期の春から夏にかけては、こまめな剪定が必要です。
誘引
トレリスやフェンスなどを利用して、枝を適切な方向へ誘引することで、越境を防ぐことができます。
専門家への相談
適切な剪定方法や樹木の管理について、造園業者や樹木医などの専門家に相談することも有効です。
根の越境の対策
物理的な障壁の設置
境界線に沿って、深さ50cm〜1m程度の溝を掘り、防根シートやコンクリートブロックなどを設置することで、地下茎の侵入を防ぐことができます。
特に、竹やスギナのような繁殖力の強い植物に対しては、物理的な障壁が有効です。
定期的な除去
地上部だけでなく、地下茎も定期的に除去することが重要です。
スコップなどで掘り起こし、根茎を丁寧に除去しましょう。根茎が残っていると、そこから再び芽が出てしまいます。
除草剤の使用
除草剤を使用する場合は、植物の種類や使用場所、使用方法などをよく確認し、周辺環境や人体への影響に配慮して使用しましょう。
特に、地下水への影響が懸念される場所では、使用を控えましょう。
専門業者への依頼
竹やスギナなど、駆除が難しい植物の場合は、専門業者に依頼することも検討しましょう。
専門業者は、適切な方法で効率的に除去作業を行うことができます。
落葉・落枝の越境の対策
落葉や落枝を全く無くすことはできませんので、隣家への迷惑を最小限にするような対策になります。
まずは、定期的に剪定を行い、枝葉の量を調整することで、落ち葉や落枝の量を減らしましょう。
特に、秋には落葉前に剪定を行うと効果的です。
境界線にネットを設置することで、落ち葉や落枝の侵入を防ぐといった対策もあります。
まとめ
本記事では、隣家に草木が越境した場合のリスク、どのように越境してしまうのか、越境しやすい草木、越境しないための対策を説明させていただきました。
越境した植物は、放置すると様々なリスクを引き起こす可能性があります。
早期に対応することで、トラブルを未然に防ぐことができます。
境界付近の植物は定期的に剪定するなどして、越境しないように管理するようにしましょう。
越境している場合は、早めに隣人に連絡を取り、対応について相談することが大切です。
ご自身で剪定などの対応が難しい場合は、専門業者に相談するのもよいでしょう。