破産管財人の先生、また管財業務をご担当される法律事務所の事務職員の方へ。

破産手続が始まると、明渡しの期限を見据えながら、在庫や什器をどう換価し、何を撤去するかを決めていく必要があります。その一方で、現地へ行く日程をすぐには組めない場合もあります。

当社では、写真と基本情報をお送りいただければ、現地に立ち会わなくても、買取額と撤去にかかる費用の見積もりをお出しできます。物件の状況によっては、現地確認をお願いする場合があります。

本記事では、写真見積もりを依頼するときにそろえていただきたい情報、写真の撮り方と送り方、届いた見積書の確認ポイントを順にご説明します。

依頼から精算までの全体の流れは、破産管財の動産買取・残置物撤去|依頼の5ステップと見積・精算の考え方にまとめています。

写真見積もりの依頼から見積書の受け取りまで

写真見積もりの依頼でそろえていただきたいのは、「物件と期限の基本情報」「現地の写真」「在庫リスト(買取がある場合)」の3つです。届いた見積書は「総括」「明細」「前提条件」の3か所を確認すると、財団の増減と見積もりの前提が分かります。

一般的な流れは次のとおりです。

  1. 基本情報をお知らせいただく(事務所):物件の所在地、業種、明渡しの期限、ご依頼の範囲など
  2. 写真と在庫リストをお送りいただく(事務所):お手元にある写真から始めて、足りない部分を後から補うこともできます
  3. 不足している点を確認する(当社):写真で分からない箇所を伺います。写真だけでは難しい場合は、現地確認をご相談します
  4. 見積書を提出する(当社):買取額と撤去にかかる費用を、項目を分けて記載します
  5. 内容をご確認いただく(先生):ご依頼いただくか、範囲を変えるか、お断りいただくかをご判断ください

依頼時にお知らせいただきたい情報

見積もりの精度と作業日程の組み方は、最初にいただく情報で大きく変わります。次の項目のうち、分かる範囲でお知らせください。分からない項目は空欄のままで構いません。

物件と期限の情報

物量や作業人数を見積もるために、物件と期限について次の点を伺います。

  • 物件の所在地と業種(小売店・飲食店・事務所・倉庫など)
  • 階数、エレベーターの有無、トラックを停められる場所
  • 明渡しの期限と、期限を動かせる余地があるか
  • ビルの管理規約で、作業できる時間帯や曜日が決まっているか
  • 鍵の所在(管財人の先生がお持ちか、貸主様・管理会社様がお持ちか)

ご依頼の範囲

見積書に載せる項目は、ご依頼の範囲によって変わります。

買取と撤去の両方、買取のみ、撤去のみのいずれにも対応しています。撤去は、室内を空にする「全部撤去」、指定された範囲だけの「一部撤去」、買い取った物だけを搬出する「買取品の引取りのみ」から選んでいただけます。

破産手続開始の申立ての準備段階で、在庫の査定書だけが必要な場合の扱いは、管財品の買取査定で見られる6つの要素|店舗在庫の価格と見積書の出し方でご説明しています。

所有関係が分かっている物

破産会社以外の人が持ち主の可能性がある物は、早めに分かると見積もりの手戻りを防げます。

リース品・レンタル品、顧客や取引先からの預かり品、入居時からある貸主様の設備などが分かっていれば、お知らせください。こうした物は撤去の対象から外して一覧にし、扱いを先生にご確認いただきます。撤去の前に分けておく物の一覧は、破産会社の店舗・事務所の残置物撤去|明渡し期限までの6工程と仕分け方に載せています。

お問い合わせに使える記入項目の例

お問い合わせの際は、次の項目を目安にご記入いただくと、その後のやり取りを減らせます。

項目書き方の例
事務所名・ご担当者○○法律事務所 ○○(事務局)
物件の所在地埼玉県○○市○○町(番地まで)
業種・用途雑貨の小売店(1階の路面店)
広さ・階数・エレベーター約○坪・2階・エレベーターあり
明渡しの期限○月○日(貸主様と調整中)
鍵の所在管財人の先生が保管
ご依頼の範囲在庫の買取と、残りの全部撤去
リース品などの有無複合機(リース)あり
写真・在庫リスト写真あり、在庫リストは帳簿の写しあり

写真の撮り方と送り方

撤去の物量を見積もるための写真と、買取の査定のための写真では、撮っていただきたいものが異なります。どちらも枚数より、全体の様子と数量が分かることを優先してください。

撤去の物量を見積もるための写真

撤去費用は、残置物の量を2tトラック何台分かに置き換えて見積もります。次の写真があると、物量をつかみやすくなります。

  • 部屋ごとの全景(できれば四隅から)
  • 棚・ロッカー・キャビネットの扉や引出しを開けた状態
  • バックヤード、倉庫、屋外の物置や屋上
  • 入口から搬出口、トラックを停める場所までの通路

写真に写っていない倉庫の奥や、鍵のかかった部屋があると、見積もりが実際とずれる原因になります。鍵のない部屋や、拠点が複数ある場合は、見積もりの段階でお知らせください。

買取査定のための写真と在庫リスト

買取額は、品目・状態・数量によって大きく変わります。査定の精度を上げるため、次の写真と資料をご用意ください。

  • 代表的な商品の正面と、型番や品名が分かるラベル
  • 外箱・付属品の有無が分かる写真
  • 棚の段ごとの写真(数量の目安になります)
  • 賞味期限・使用期限の表示
  • 在庫リスト(品名・型番・数量・状態)。帳簿の在庫表の写しで代えていただいても構いません

食品は、常温で保存できる包装食品が査定の対象です。査定で見られる要素は、管財品の買取査定で見られる6つの要素でご説明しています。

写り込みに注意したい物と送り方

店舗や事務所の写真には、個人情報が写り込みやすい物があります。撮影の前に、次の物が読み取れないようご配慮ください。

  • 顧客名簿、伝票、契約書などの書類
  • 従業員の書類、ロッカーの名札
  • 現地に届いている郵便物
  • パソコンの画面、ホワイトボードの書き込み

写真の送り方は、お問い合わせの際にご案内します。LINEでお送りいただくこともできます。

事務所の情報管理のルールで、外部のサービスへの送信に制限がある場合は、事前にご相談ください。案件の情報は、業務に必要な範囲でのみ取り扱います。個人情報の取扱いは、プライバシーポリシーをご覧ください。

写真だけでは見積もりが難しい場合

写真だけで見積もりをお出しするのが難しいときは、現地確認をお願いすることがあります。

たとえば、在庫の量が多く写真で数量を数えにくい場合、鍵のない部屋や写真に写らない倉庫がある場合、業務用の機器など型番の確認が必要な物が多い場合です。現地確認の日程と鍵の受け渡し方法は、案件ごとにご相談のうえ決めます。

見積書の見方 ― 総括・明細・前提条件の3か所

買取と撤去をあわせてご依頼いただく場合、見積書では金額を項目ごとに分けて記載し、差額で精算します。事務所で確認していただきたいのは、4つの金額と差額をまとめた「総括」、品目ごとの「明細」、見積もりの「前提条件」の3か所です。

総括で4つの金額と差額を確認する

総括には、次の4つの金額を別々の行で記載します。買取のみ、撤去のみのご依頼では、該当する行だけを記載します。

項目何の金額か確認するポイント
買取額当社が買い取る動産の代金明細の小計の合計と一致しているか
撤去作業費仕分け・搬出など当社の作業の費用物量(2tトラック換算)・人数・日数の前提
産業廃棄物収集運搬費当社に収集運搬を委託いただく場合の費用委託契約書の数量・料金と一致しているか
処分費等(立替)処分業者・一般廃棄物の許可業者の費用各社の見積書・請求書の写しと一致しているか

精算額は「撤去作業費+産業廃棄物収集運搬費+処分費等(立替)−買取額」で計算します。プラスであれば当社からのご請求、マイナスであれば当社からのお支払いです。計算例は、破産管財の動産買取・残置物撤去|依頼の5ステップと見積・精算の考え方の「見積書の見方と差額精算の考え方」に載せています。

収集運搬費と処分費等は、当社の作業費と分けて記載します。廃棄物の処理料金は、排出事業者である管財人の先生と処理業者の委託契約で決まるものだからです。

環境省の通知も、廃棄物の種類・数量や処理料金などは、排出事業者と処理業者の間で決めるべきものとしています。当社が処分業者などをご紹介する場合も、契約と料金は先生と各社の間で決めていただきます。

処分費等を当社が立て替える場合も、各社との契約で決まった額をそのまま記載し、当社の利益は上乗せしません。

(出典:環境省「廃棄物処理に関する排出事業者責任の徹底について(通知)」平成29年3月21日、環廃対発第1703212号・環廃産発第1703211号)

通知の内容は廃棄物処理に関する排出事業者責任の徹底について(通知)で、委託契約とマニフェストの実務は破産管財人の廃棄物処理|委託契約・マニフェスト・精算の3つの実務で解説しています。

なお、精算の結果がご請求かお支払いかによって、個々の品物が廃棄物に当たるかどうかが変わるわけではありません。

品目別の明細を確認する

明細は、許可申立てや換価のご報告の資料として整理しやすい形でお出しします。

買取の明細には、品目ごとに数量・単価・状態の区分・小計を記載します。委託販売の商品やリース品など、所有関係を確かめたい商品は分けて記載し、査定に含めるかどうかは先生のご判断に従います。

破産法78条2項は、商品の一括売却や動産の任意売却を、管財人が裁判所の許可を得てする行為として挙げています。許可の要否や申立ての進め方は先生のご判断です。金額による例外の考え方は、「破産管財の動産買取・残置物撤去」の記事でご説明しています。

(出典:e-Gov法令検索『破産法』)

撤去作業費は、物量(2tトラック換算)、作業人数、作業日数が前提です。産業廃棄物収集運搬費は、委託契約書に記載する数量・料金と同じ内容で記載します。

前提条件と注意事項を確認する

見積書には、金額の前提になっている条件と、見積もりの後に変わり得る点を記載します。特に次の点をご確認ください。

  • 写真で確認できた範囲:写真見積もりでは、写真とお知らせいただいた情報の範囲が前提です
  • 撤去の対象外の物:リース品・預かり品・貸主様の設備など、作業から外す物
  • 追加の物量が出た場合:見積もり時に確認できなかった物が多く見つかった場合は、作業の前にご相談し、見積もりを見直します
  • 有効期限:案件ごとに設定します。許可申立てをされる場合は、許可の見込み時期を伺ったうえで設定します
  • 季節品・期限品:引取日の期限の残りによっては、査定をやり直す条件を付ける場合があります
  • 引取日の再確認:数量・状態・期限を確認します。数量が変わった場合は品目別の単価で計算し直し、状態が変わった品目は再査定のうえ、精算の前に先生にご確認いただきます

見積書を受け取った後の進め方

見積書の内容をご覧いただいたうえで、依頼するかどうか、範囲を変えるかどうかを先生にご判断いただきます。ここでは、見積書を受け取った後の選択肢と、ご依頼が決まった後の手続きをご説明します。

相見積もりやお断りも可能です

当社の見積書は、相見積もりとの比較にもお使いいただけます。内容にご納得いただけない場合は、お断りいただいて構いません。

他社の見積書と比べるときは、買取額と撤去作業費・処分費が同じ区分で分かれているかを見ると、比べやすくなります。売却するかどうかは、先生にご判断いただけます。

差額がご請求になる場合は範囲を見直せます

撤去費用が買取額を上回り、差額がご請求になる場合もあります。その場合は、撤去の範囲を変えた見積もりもご用意できます。財団の状況に合わせてご相談ください。

ご依頼が決まったら

ご依頼が決まったら、作業の前に次の手続きを進めます。

  • 廃棄物の委託契約とマニフェストの準備:作業の前に、管財人の先生に、収集運搬業者・処分業者などと委託契約を結んでいただきます。産業廃棄物のマニフェストは、記載内容を事前に確認しておき、廃棄物の引渡しと同時に、先生から運搬を受託した業者(当社に委託いただく場合は当社)へ交付していただきます。電子マニフェストを使う場合は、引渡しの後、定められた期間内に登録していただきます。当社は、記載に必要な品目・数量の情報をご提供します。
  • 取引の相手方の確認:古物に当たる物の買取は、古物営業法に定める手続きに沿っておこないます。必要な書類は事前にご案内します
  • 作業日の段取り:鍵の受け渡し方法と、作業記録(写真・一覧など)の形式をご相談のうえ決めます

サンクルの写真見積もり

株式会社サンクル(埼玉県坂戸市)は、破産管財案件の動産の買取と残置物撤去をお引き受けしています。作業の範囲と、産業廃棄物の収集運搬を受託できる区域は異なるため、分けて記載しています。

  • 写真見積もり:先生や事務職員の方が現地に立ち会わなくても、見積もりの段階まで進められます
  • 1通の見積書:買取額と撤去にかかる費用を、項目を分けて1通の見積書にまとめます
  • 許可:古物商許可(埼玉県公安委員会 第431110057492号)、産業廃棄物収集運搬業許可(埼玉県 許可番号01100248748)
  • 作業の範囲:片付け・撤去・買取の作業は、埼玉県を中心に東京・神奈川の一部で承ります
  • 産業廃棄物の収集運搬:積み込み・荷降ろしをともに埼玉県内でおこなう場合に限り、当社の許可品目の範囲で、先生との委託契約に基づいてお引き受けします
  • 事業系一般廃棄物:紙くずなどの事業系一般廃棄物は当社では扱えません。市町村の一般廃棄物収集運搬許可業者と先生にご契約いただきます

よくあるご質問

写真見積もりについて、ご依頼の前に確認しておきたい点をQ&A形式でまとめました。実際の扱いは、物件の状況や品目によって異なります。

Q:写真は何枚くらい必要ですか?

枚数に決まりはありません。部屋ごとの全景と、収納や在庫の量が分かる写真があれば、見積もりを始められます。足りない箇所は、当社から追加でお願いします。

Q:写真見積もりの金額は、後から変わることがありますか?

写真とお知らせいただいた情報の範囲を前提に見積もります。確認できなかった物が多く見つかった場合は、作業の前にご相談して見積もりを見直します。

買取品は、引取日に数量・状態・期限を再確認し、変わった点があれば精算の前にご確認いただきます。

Q:管財人が現地に入る前でも依頼できますか?

お手元にある写真があれば、そこから見積もりを始められます。写真が足りない場合や、写真だけでは見積もりが難しい場合は、現地確認の日程と鍵の受け渡し方法をご相談します。

Q:埼玉県外の物件も写真で見積もれますか?

東京・神奈川の一部の物件でも、写真見積もりと、片付け・撤去・買取の作業をお受けできます。

ただし、産業廃棄物の収集運搬業の許可は、積み込み・荷降ろしをおこなう区域を管轄する都道府県ごとに必要です(廃棄物処理法14条1項)。当社の許可は埼玉県のみのため、埼玉県外の物件や処分先の場合は、積み込み・荷降ろしをおこなう都道府県の許可をそれぞれ持つ業者と、先生にご契約いただきます。

まとめ

写真見積もりは、物件と期限の基本情報、現地の写真、在庫リストの3つがそろうと精度が上がります。届いた見積書は、次の3か所をご確認ください。

  • 総括:買取額・撤去作業費・産業廃棄物収集運搬費・処分費等(立替)の4つの金額と差額
  • 明細:品目ごとの数量・単価・状態の区分
  • 前提条件:写真で確認できた範囲、撤去の対象外の物、有効期限、引取日の再確認

破産管財案件の写真見積もりのご相談は、株式会社サンクルまでお問い合わせください。


※本記事は2026年10月時点の法令等に基づく一般的な情報です。破産手続における個別の判断は、管財人の先生のご判断と裁判所の運用によります。廃棄物の区分や手続の扱いは自治体によって異なる場合があるため、物件所在地の都道府県・市町村にご確認ください。