遠くにある実家を相続したけれど、なかなか行くことが出来ず、仕方なく放置しているという方も多いのではないでしょうか。
空き家を放置してしまうことでのリスクはたくさんありますが、本記事では「不法侵入された場合のリスク」と「不法侵入されないようにする対策」をわかりやすくご説明したいと思います。
目次
空き家に不法侵入された場合の「7つのリスク」
空き家に不法侵入された場合、以下のようなリスクが考えられます。
【リスク1】盗難
家財道具、家電製品、貴重品などが盗まれる可能性があります。
空き家の盗難に関するニュース
- 朝日新聞:空き家狙った侵入盗容疑で男2人を逮捕 関東4県で79件に関与か
- 埼玉新聞:コロナで仕事なく泥棒やった…少年含む男ら5人を逮捕 空き家に侵入、現金2千円と財布盗んだ疑い
- 埼玉新聞:4人で同居、車で犯行…空き家に侵入し窃盗、容疑の外国籍の男4人を再逮捕
【リスク2】破壊
家屋や設備が破壊される可能性があります。
破損された場合、修復に費用がかかったり、さらなる破壊が行われたりする可能性があります。
空き家を放置しておくと、不法侵入者に以下のような部分を破壊されたりや落書きされたりするリスクがあります。
- 窓ガラス: 侵入経路として窓ガラスが割られる可能性があります。また、侵入後に換気や採光のために窓を開けっ放しにすることで、さらなる侵入や雨漏りの原因となる可能性もあります。
- 玄関ドア: 侵入のためにドアがこじ開けられたり、破壊される可能性があります。
- 勝手口や裏口: 人目につきにくい勝手口や裏口も侵入経路として狙われやすく、破壊される可能性があります。
- 壁や床: 落書きをされたり、穴を開けられたりする可能性があります。また、侵入者が住み着いた場合、生活のために壁や床を改造する可能性もあります。
- 天井: 雨漏りなどで天井が腐食したり、侵入者が天井裏に侵入するために穴を開けたりする可能性があります。
- 設備: 電気配線や水道管などが盗難目的で切断されたり、破壊される可能性があります。また、トイレやキッチンなどの設備も使用されたり、破壊されたりする可能性があります。
- 外壁: 落書きをされたり、侵入者が外壁をよじ登る際に破損する可能性があります。
- 屋根: 雨漏りなどで屋根が腐食したり、侵入者が屋根裏に侵入するために瓦などを剥がす可能性があります。
- 庭や塀: 庭木が枯れたり、塀が壊されたりする可能性があります。
【リスク3】放火
放火されるリスクもあり、最悪の場合、家屋全体が焼失する可能性があります。
空き家の放火に関するニュース
【リスク4】不法占拠
空き家を放置したままにしておくと、不法侵入者がそのまま住み着いてしまうリスクもあります。
実際に空き家に住民票を移して、電気やガスを契約していたというニュースもあります。
空き家の不法占拠に関するニュース
【リスク5】近隣への迷惑
空き家が不法侵入者の溜まり場となり、以下のように、近隣住民に不安や迷惑をかける可能性があります。
- 騒音:大声での会話や喧嘩や深夜に音楽を大音量で流す等
- ゴミ問題:ゴミを敷地内や周辺に不法投棄したり、生ゴミを放置し、悪臭や害虫・害獣を発生させる等
- 治安悪化:不審者の出入りが増え、喧嘩や暴力行為が発生する等
不法侵入者が近隣住民に対して暴言を吐いたり、無断で近隣住民の敷地に入ったり、近隣住民の物を盗んだりする等、直接的な迷惑をかける可能性もあります。
【リスク6】犯罪の拠点
空き家が不法侵入されると、以下のような犯罪の拠点として利用される可能性があります。
- 薬物取引の拠点: 空き家は、外部から目立たず、警察の目を逃れやすいため、薬物の密売や取引の場として利用されることがあります。
- 違法滞在者の隠れ家: 不法滞在者や逃亡者が身を潜めるための場所として利用されることがあります。
- 盗品の隠匿場所: 空き家は、盗んだ物品を一時的に隠す場所として利用されることがあります。
- 特殊詐欺の活動拠点: 犯罪組織が、監視の少ない場所として空き家を利用し、違法な活動の拠点とすることがあります。
- 売春の拠点: 空き家が売春の現場として使われることもあり得ます。
【リスク7】所有者責任
空き家で発生した事故や事件について、所有者が責任を問われる可能性があります。
- 土地工作物責任(民法717条):空き家の老朽化などにより、屋根や外壁が落下して通行人や近隣住民に怪我をさせたり、近隣の住宅を破損した場合、損害賠償責任を負う可能性があります。
- 不法行為責任(民法709条):空き家が原因で火災が発生し、近隣に延焼した場合、損害賠償責任を負う可能性があります。また、空き家に不法侵入者が住み着き、近隣に迷惑行為を行った場合も、所有者に責任が問われる可能性があります。
- 廃棄物の処理及び清掃に関する法律:空き家に不法投棄されたゴミについて、所有者が処理責任を負う可能性があります。
- 軽犯罪法:空き家の管理不行き届きにより、周辺の環境が悪化し、悪臭や害虫の発生など、近隣住民の生活に支障をきたした場合、軽犯罪法違反に問われる可能性があります。
空き家に不法侵入されないための「3つの対策」
所有している空き家に不法侵入されないようにするための対策は、大きく分けて以下の3つがあります。
【対策1】空き家であることを悟られないようにする
空き家は、そこに人が住んでいない、管理が行き届いていないという印象を与えやすく、犯罪者にとって格好の標的となります。
しかし、人が住んでいるように見せかけることで、侵入しようとする意欲を削ぐことができます。
また、空き家であることが明らかな家は、侵入しやすいだけでなく、侵入後も発見されにくいという安心感を与えてしまいます。
そのため、以下のような対策をとって、空き家であることを悟られないようにすることは非常に大切です。
- 定期的なメンテナンス:定期的に空き家を訪問し、庭の草刈りや掃除を行い、管理されている印象を与えましょう。
- 郵便物の転送:郵便物が溜まると空き家であることが分かりやすいため、郵便局に転送手続きを依頼しましょう。
- 照明の点灯:タイマー式の照明を設置し、夜間も人がいるように見せかけるのも有効です。
- カーテンやブラインドの開閉:定期的にカーテンやブラインドを開閉することで、人が生活しているように見せかけることができます。
【対策2】物理的に侵入を防止する
空き家であることを悟られないようにすることは重要な対策ですが、いろいろな事情で、どうしても空き家であることが分かってしまうというケースもあると思います。
その場合、不法侵入を防ぐために物理的に侵入を防ぐ対策をとりましょう。
物理的に侵入を防ぐ対策には以下のような対策があります。
- 窓や扉の強化:窓ガラスを強化ガラスに交換したり、補助錠を取り付けるなどして、侵入しにくくしましょう。
- 塀やフェンスの設置:敷地内に侵入しにくいように、塀やフェンスを設置することも有効です。
- センサーライトの設置:人感センサー付きのライトを設置することで、侵入者を威嚇することができます。
- 防犯砂利の敷設:歩く際に大きな音が鳴るため、侵入者を威嚇することができます。
【対策3】監視体制を強化する
空き家であることが分かっていても、監視体制がしっかりしていると感じると不法侵入を諦めるケースもあります。
不法侵入を予防するためにも、監視体制を強化しておきましょう。
監視体制の強化対策は、以下のような対策があります。
- 防犯カメラの設置:防犯カメラを設置することで、不審者の侵入を監視し、証拠を残すことができます。
- 空き家管理会社の利用:空き家管理会社と契約し、空き家の巡回や緊急時の対応を依頼することも検討しましょう。
- 近隣住民との連携:近隣住民に空き家の状況を見守ってもらい、不審者を見かけたら連絡してもらうようにお願いしましょう。
まとめ
本記事では「不法侵入された場合のリスク」と「不法侵入されないようにする対策」を説明させていただきました。
空き家を定期的に訪れることが、不法侵入を防ぐ上で最も重要です。
また、近隣住民との良好な関係を築き、協力してもらうことも大切です。
物理的な対策と監視体制の強化など、複数の対策を組み合わせることで、より効果的に不法侵入を防ぐことができます。
空き家の管理は、所有者の責任です。
適切な対策を行い、不法侵入やその他のトラブルを防ぎましょう。