「不用品回収でぼったくられた!」という事例と対策

令和4年11月2日の国民生活センターの報道資料によると、引っ越しや自宅整理等の機会に利用される不用品回収サービスについて、全国の消費生活センター等への相談が増加しており、2021年度には2,000件を超えたそうです。

令和4年6月1日には、消費者庁からウェブサイト上で「お得な定額パック 定額パック料金は、全てが込み込みの料金」などの広告・表示をして不用品・粗大ごみ回収サービスを提供する事業者に関する注意喚起が出されています。(消費者庁ウェブサイト「ウェブサイト上で『お得な定額パック 定額パック料金は、全て込み込みの料金』などの広告・表示をして不用品・粗大ごみ回収サービスを提供する事業者に関する注意喚起」

以下に、国民生活センターに寄せられた事例と国民生活センターと消費者庁からのアドバイスをご紹介します。

国民生活センターに寄せられた事例

独立行政法人国民生活センター 不用品回収サービスのトラブル

相談事例には、インターネットやチラシ等の広告をきっかけに、「安価な定額パックを申し込んだはずが、作業終了後に高額な料金を請求された」「トラック詰め放題プランで依頼したが、当日荷台の囲いの高さまでしか載せられないと言われた」など、消費者が広告を見て認識していたプラン内容と、実際の料金やサービスが大きく異なりトラブルになっているそうです。

以下に資料で掲載されている事例をご紹介します。

【事例1】作業後に高額請求された

作業後に高額請求された

作業終了後に高額な料金を請求されて支払い、「クーリング・オフはできない」と書かれた書面にサインをさせられたという事例です。

引っ越しに伴い不用品を回収してもらうためにインターネットで事業者を探した。

「軽トラックパック7,000円、2トントラックパック2万5,000円」との広告を見て事業者に電話し、「広告のパック料金でお願いしたい」と申し込んだ。

実際に行ってみないとどちらのコースになるか分からない」と言われた。

一人暮らしで不用品が少ないため、軽トラックパックになるものと考え、また2トントラックパックになったとしても料金は2万5,000円以上にならないと思っていた。

ところが当日男性作業員3名が2トントラックで来訪し、不用品の積み込みが終わると、料金は25万円だと言われた。

不動産業者の立ち合いの予定があり、早く部屋を出なければならないと焦っていたので、その場で親に電話をして送金してもらい支払った。

その際、「クーリング・オフはできない」と記載された書面にサインをした。クーリング・オフできないのか。 (2022年5月受付 20歳代 女性)

【事例2】事前説明と異なる高額請求をされた

事前説明と異なる高額請求をされた

事前の説明と異なる高額な料金を請求され、納得できないなら不用品をすべて下ろすと言われた事例です。

借りている倉庫内の不用品を処分しようとインターネットで見つけた事業者に電話した。

不用品の量を伝えると、「全行程込みの軽トラックパック料金で2万円程度になると思う」と言われた。

しかし当日、作業員は2トントラックで来訪し、既に荷台の半分ほどに他の人の不用品が載っていた。

2トントラックの料金として5万円、廃棄費用として5万円で合計10万円になると言われたので、「依頼時の話と違う」と抗議した。

すると「消費税分だけ減額する。納得できないなら不用品をすべて下ろす」と言われた。

やむを得ず支払ったが、請求金額に納得できない。 (2022年5月受付 30歳代 男性)

【事例3】詰め放題と広告していながら詰め放題ではなかった

詰め放題と広告していながら詰め放題ではなかった

「トラック詰め放題」との広告を見て依頼したら、当日荷台の囲いの高さまでしか載せられないと言われ、断るとキャンセル料を請求された事例です。

空き家になっている母の家を整理しようと思い、「○○市 ゴミ回収」とインターネット検索した。

出てきたサイトを見ると、「一軒家丸ごと、事業所に最適。2トントラック詰め放題」と書かれており、通常6万円のところ5万円程になるとのことだった。

見積もりを取りたいと思い電話したら、「うちは見積もりをしていない。2トントラック詰め放題で、料金はサイトに表示しているプランのみだ」と言われたので依頼した。

約束の日時に母の家へ行くと2トントラックで作業員が来訪していたが、不用品を載せることができるのは荷台の囲いの高さまでだと言われた。

囲いの高さは20~30センチだ。

トラックには一般廃棄物処理業の許可の表示はなかった。

詰め放題と広告していながら詰め放題ではなかったため回収を断ると、「キャンセル料1万5,000円を支払え」と言われた。

支払わないと作業員が帰らなかったので、しかたなく現金で支払った。

苦情を言いたい。 (2022年4月受付 50歳代 男性)

【事例4】チラシに記載されていた金額より高額請求された事例

チラシに記載されていた金額より高額請求された事例

不用品の量は軽トラック1台分に満たなかったが2台分を請求され、高額で支払えないと言うと、銀行で現金をおろすように言われた事例です。

ポストに入っていた不用品回収業者のチラシを見て電話をかけ、冷蔵庫等の回収を3万5,000円で依頼した。

数日後、作業員が軽トラックで来訪して不用品を確認すると、価格表を見せながら「5万5,000円だ」と言われた。

さらに「冷蔵庫は一人で運べないので、もう一人呼ぶ」と言い、別の軽トラックで男性が来訪した。

不用品の量は軽トラック1台分に満たなかったが、作業終了後に「トラックが2台になったので11万円だ」と言われた。

私が「高すぎる。現金がないため支払えない」と言うと、「すぐ近くに金融機関があるので現金を下ろしてくればよい」と言われた。

怖くなって銀行へ行き、11万円をおろして事業者に渡した。

契約書等の書面は一切もらっていない。

チラシに記載されていた金額より高額で納得がいかない。今後の対応を知りたい。(2022 年6月受付 70歳代 女性)

国民生活センターからのアドバイス

国民生活センターからのアドバイス

市区町村が提供する窓口に余裕を持って依頼する

不用品の処分は、お住まいの市区町村が提供する窓口に余裕を持って依頼しましょう。

一般家庭から出る廃棄物は市区町村の統括的な責任の元で適正に処理をする必要があります。

不用品はお住まいの市区町村が案内するルールで処分しましょう。

家電4品目(エアコン、テレビ、冷蔵庫・冷凍庫、洗濯機・衣類乾燥機)は家電リサイクル法の対象品目です。

買い替えに伴う処分の場合は新しい製品を購入する小売業者に、処分のみの場合は処分する製品を購入した小売業者に引取りを依頼するなど、家電リサイクル法に基づいて、適切に処理をしてください。

不用品の処分で分からないことがあれば、市区町村の窓口に問い合わせましょう。

一般廃棄物処理業者に依頼しましょう

市区町村以外に不用品の処分を依頼する場合は、一般廃棄物処理業者に依頼しましょう。

インターネットやチラシ等で広告を大々的に出している事業者が必ずしも一般廃棄物処理業の許可業者とは限りません。

一般廃棄物処理業の無許可業者が一般家庭向けに出している広告を見ると、「定額パック××円」「トラック詰め放題△△円~」などと安価な料金を表示していますが、実際には基本料金の他に人件費や廃棄費用等、様々な名目で追加料金が発生し、高額な料金を請求されてトラブルになっています。

また無許可業者については、一般廃棄物の処理が適正に行われているのか市区町村で確認ができず、回収された不用品が不法投棄される恐れなどもあります。

もしも不用品の回収を市区町村以外に依頼する場合は、市区町村のホームページや窓口への問合せで一般廃棄物処理業の許可業者を探し、複数社から見積もりを取り、追加料金がかからないことなどを十分に確認したうえで依頼しましょう。

見積もりを取るときのポイント

  • 市区町村のホームページ等から一般廃棄物処理業の許可業者を探す
  • 追加料金の有無を確認する
  • 作業内容、料金を明確に出してもらう
  • キャンセル料を確認する

※依頼後に一般廃棄物処理業の無許可業者であると分かった場合は、作業を断りましょう。

見積りと異なる高額料金を請求された場合

事前の見積もりとは異なる高額な料金を請求された場合は、支払いを断りましょう。

作業前に料金や作業内容について納得できない提案があった場合

当日は作業前に改めて料金や作業内容を確認しましょう。

その際、見積もりの料金や作業内容からの変更を提案されて納得できない場合は、作業前にきっぱりと断りましょう。

作業開始後に想定外の料金を請求された場合

作業中や作業終了後に、事前に聞いてない高額な料金を請求された場合は、後日納得した金額で支払う意思があることを示しつつ、その場での支払いを断りましょう。

もしも支払いを迫る作業員の態度等に身の危険を感じることがあれば、警察に連絡するのも一法です。

見積もりのために呼んだ事業者とその場で契約した場合や、広告等の表示額と実際の請求金額が大きく異なる場合などは、特定商取引法の訪問販売によるクーリング・オフ等が適用できる可能性があります

消費者庁からのアドバイス

消費者庁からのアドバイス

追加料金を請求されないために注意すること

定額で済むと思っていても実際は様々な理由で追加料金を請求されることがあります。

作業前に見積りを取るなど条件をしっかり確認しましょう。

事業者が、「料金は不用品を積んでみないと分からない。」などと言って、作業前に見積金額を示さない、見積書を交付しない、作業内容が曖昧であるなど、事業者に不審な点を感じた際は、契約を断るなど毅然とした対応を採りましょう。

高額請求を支払ってしまった場合

高額な請求を受け、支払ってしまった場合には、すぐに最寄りの消費生活センターなどや警察に相談しましょう。

ウェブサイトやチラシによる広告に記載された安価な料金や電話等で問い合わせた際に聞いた料金と、実際に作業員に現場で請求された料金に相当な開きがあったり、契約書面を受領していない場合などには、契約をしてしまった場合でも、クーリング・オフが認められることがあります。

高額請求を受け、実際に料金を支払ってしまった場合でも、消費生活センター等が交渉し、返金が行われた事例もありますので、すぐに、最寄りの消費生活センター等に相談しましょう。

自治体の不用品・粗大ごみの回収方法を確認する

お住いの自治体の不用品・粗大ごみの回収方法について早めに確認しましょう。

一般の家庭から排出される不用品・粗大ごみは、「一般廃棄物」として、お住いの自治体や自治体から委託・許可を受けた事業者が回収をしています。

お住いの自治体によっては、不用品・粗大ごみの回収を申し込んでから回収までに日数を要する場合があるので、引っ越し等で不用品・粗大ごみを処分する予定がある場合は、早めにお住いの自治体に問い合わせるなどしましょう。

使い終わった家電4品目(エアコン、テレビ、冷蔵庫・冷凍庫、洗濯機・衣類乾燥機)は、家電リサイクル法に従い適切に処分する必要があります。

また、処分の際にはリサイクル料金等が必要です。

家電小売店へ引き渡すか、市区町村の案内する方法で適切にリサイクルしてください。

まとめ

まとめ

「不用品回収でぼったくられた!」という事例と対策に関して説明させていただきました。

ホームページやチラシの記載内容と異なった金額を請求されるというトラブルがおきないように、事前に見積を取る事は絶対に必要です。

不用品回収サービスをご利用される際にトラブルにならないように、本記事が少しでもご参考になりましたら幸いです。

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