相続してから放置していた空き家に久しぶりに掃除に行ったら、台所にアリの大軍がいてショックを受けたという方もいらっしゃると思います。
空き家で大量の蟻が発生した場合、早急な対処が必要です。
そのまま放置すると建物への被害や近隣への影響も懸念されます。
本記事では、大量発生しやすい蟻の種類と種類に応じた駆除方法や再発防止対策などを分かりやすくご説明したいと思います。
目次
蟻の種類の特定
駆除方法を選択するために、まずは蟻の種類を特定することが重要です。
空き家でよく見られる蟻としては、クロアリ、イエヒメアリが挙げられます。
専門業者に依頼して調査してもらうのも良いでしょう。
クロアリ
クロアリとは、その名の通り黒い色のアリの総称です。
日本には300種類以上のクロアリが生息しており、代表的なものにはクロオオアリ、クロヤマアリ、トビイロケアリなどがいます。
クロアリの特徴は以下の通りです。
- 主に屋外に生息し、土の中に巣を作る。
- 雑食性で、食べ物の残りかすや昆虫の死骸などを餌とする。
- 比較的大きな体で、黒色または茶褐色をしている。
イエヒメアリ
イエヒメアリは、家の中に侵入し、衛生面や電化製品の故障など、様々な問題を引き起こす厄介なアリです。
体長はわずか2~2.5mmほどで、肉眼では点のようにしか見えません。この小ささのため、わずかな隙間からでも侵入し、巣を作ることができます。
寒さに弱いため、主に屋内に生息し、壁の中や家具の隙間、家電製品の中などに巣を作ります。
イエヒメアリの特徴は以下の通りです。
- 屋内に生息し、壁の隙間や家具の裏などに巣を作る。
- 雑食性で、特に甘いものが好き。
- 小さく、黄褐色をしている。
- 繁殖力が強く、多数の女王アリがいるため駆除が難しい。
蟻の巣の特定
自力で巣を発見できない場合は、害虫駆除の専門業者に調査を依頼することも検討しましょう。
専門的な知識と道具を用いて、巣の場所を特定してくれます。
クロアリの巣の探し方
まずは、砂糖や蜂蜜など、クロアリが好む餌を少量置いておいて様子をみます。
クロアリは餌を巣に持ち帰る習性があるので、蟻の行列を見つけたら、それを辿ることで巣にたどり着ける可能性があります。
特に、早朝や夕方など、気温が比較的低い時間帯に活発に活動するので、その時間帯に観察すると良いでしょう。
巣を作ると、土が盛り上がったり、小さな穴が開くことがあります。
不自然な地面の変化がないか、注意深く観察しましょう。
以下に、家の外にあるクロアリの巣を特定ために、重点的に探すと良い場所をご紹介します。
庭や家の基礎周り
- 植木鉢の下や隙間: 湿気があり、土壌も近いので、巣を作るのに適した環境です。
- 石やレンガの下: 日陰で湿気が保たれるため、巣を作りやすい場所です。
- 朽木や落ち葉の下: 腐植質があり、餌となる昆虫もいるため、巣を作る可能性があります。
- 芝生や花壇: 土壌の中に巣を作る場合があります。特に、芝生が盛り上がっている場所や、花壇の土が掘り返されている場所は要注意です。
- 家の基礎の隙間やひび割れ: 家の中に侵入する経路にもなるため、巣がある可能性があります。
その他
- ウッドデッキやベランダ: 木材の隙間や腐食した部分に巣を作る場合があります。
- 塀やフェンスの隙間: 塀やフェンスの基礎部分や、ブロック塀の隙間などに巣を作る場合があります。
- 排水溝や雨どい周辺: 湿気が多く、餌となる昆虫も集まりやすいため、巣を作る可能性があります。
イエヒメアリの巣の探し方
イエヒメアリの巣の特定は、その小ささや屋内での営巣という特性から、クロアリよりもさらに困難を極めます。
まずは、砂糖水や蜂蜜などを少量、イエヒメアリがよく出没する場所に置いて様子をみます。
イエヒメアリは餌を巣に持ち帰る習性があるので、蟻の行列を見つけたら、それを辿ることで巣にたどり着ける可能性があります。
行列ができれば、それを辿ることで巣にたどり着ける可能性があります。
イエヒメアリは体長2mmほどと非常に小さいため、わずかな隙間からも侵入して巣を作ることができますので、見落としがちな場所も丁寧にチェックしましょう。
イエヒメアリの巣は、家の中の様々な場所に作られる可能性がありますが、特に以下の場所を重点的に探すことをおすすめします。
キッチン周辺
- シンク下: 水漏れや湿気が多く、食べかすも集まりやすい場所です。排水管周辺や収納棚の奥などをチェックしましょう。
- 冷蔵庫の裏: モーターの熱で暖かく、コンセントがあるため、イエヒメアリにとって快適な場所です。
- 電子レンジやトースターの中: 使用後の熱や食べかすに惹かれて巣を作る場合があります。
- 食器棚や食品庫: 食品のカスなどが落ちていると、それを目当てに巣を作る可能性があります。
浴室・洗面所周辺
- 洗濯機の裏: 排水ホース周辺や、洗濯機の下に溜まった埃などは、湿気があり巣を作りやすい環境です。
- 洗面台の下: 水漏れや湿気が多く、巣を作るのに適した場所です。収納棚の奥や配管周辺をチェックしましょう。
その他
- 壁の隙間やひび割れ: 壁の中に巣を作る場合があり、特に壁紙の剥がれやシミがある場所は要注意です。
- コンセントの隙間: 電気の配線を通すための隙間は、イエヒメアリが侵入しやすく、巣を作る場所にもなり得ます。
- 家具の裏や隙間: 特に、長期間動かしていない家具や、暖房器具の近くにある家具の裏は要注意です。
- 段ボールや書籍: 使われていない段ボールや本の隙間は、巣を作るのに適した場所です。
蟻の駆除方法
巣を見つけたら、市販の殺虫剤や毒餌などを利用して駆除します。
蟻の種類によって、その生態や習性が異なるため、効果的な駆除方法も変わってきます。
発生規模が大きい場合や、自分で駆除するのが難しい場合は、害虫駆除の専門業者に依頼することをおすすめします。
それでは、ご自身で駆除をする場合の方法と注意点をご説明します。
クロアリの駆除方法
クロアリの駆除は、その種類や発生状況によって適切な方法が異なりますが、大きく分けて以下の3つの方法があります。
【クロアリの駆除方法1】巣を直接攻撃する
熱湯
巣穴に直接熱湯を注ぐことで、アリを殺すことができます。
即効性があり、薬剤を使わないので環境にも優しい方法ですが、巣穴が深い場合や、熱湯が届かない場所にある場合は効果が薄れます。
また、火傷に注意が必要です。
殺虫剤スプレー
巣穴やアリの行列に直接スプレーすることで、アリを駆除できます。
即効性があり、広範囲に効果を発揮しますが、薬剤を使用するため、ペットや小さなお子様がいる場合は注意が必要です。
また、種類によっては効果が薄い場合もあります。
【クロアリの駆除方法2】毒餌剤を使用する
毒餌剤は、アリが巣に持ち帰り、仲間と共有することで、巣全体を駆除することができます。
効果が現れるまでに時間がかかる場合がありますが、持続性があり、巣の位置がわからなくても効果を発揮します。
毒餌剤の種類には、 液体タイプ、顆粒タイプ、ジェルタイプなど様々な種類があります。
アリの種類や発生状況に合わせて選びましょう。
毒餌剤の設置場所は、アリがよく出没する場所や、行列ができている場所に設置します。キッチン、窓際、玄関などが特に有効です。
毒餌剤の使用の注意点
- ペットや小さなお子様がいる場合は、誤飲に十分注意してください。
- 設置場所の近くでアリをむやみに殺虫剤で駆除しないようにしましょう。警戒して毒餌を食べなくなる可能性があります。
【クロアリの駆除方法3】侵入経路を遮断する
窓枠、ドアの隙間、壁のひび割れ、配管周りなど、アリが侵入しそうな場所をコーキング剤やパテなどで塞ぎます。
侵入経路になりそうな場所に、ミントやハッカ油、柑橘系の香りなど、アリが嫌がる成分をスプレーしたり、置いておくのも効果的です。
イエヒメアリの駆除方法
最も効果的な方法は、毒餌剤の使用です。
イエヒメアリは、毒餌を巣に持ち帰り、仲間と共有する習性があります。
このため、毒餌剤は巣全体を駆除するのに非常に効果的です。
毒餌剤の種類には、 液体タイプ、顆粒タイプ、ジェルタイプなど様々な種類があります。
イエヒメアリは体が小さいため、顆粒タイプの場合は細かく砕くか、液体タイプやジェルタイプを選びましょう。
設置場所はイエヒメアリをよく見かける場所や、行列ができている場所に設置します。
イエヒメアリの巣の探し方でご説明した、キッチン、浴室、洗面所、窓際などが特に有効です。
毒餌剤の使用の注意点
- 毒餌剤の効果が現れるまで数日〜数週間かかる場合があります。
- 設置場所の近くでイエヒメアリをむやみに殺虫剤で駆除しないようにしましょう。警戒して毒餌を食べなくなる可能性があります。
- ペットや小さなお子様がいる場合は、誤飲に十分注意してください。
蟻の再発生防止のための5つの対策
蟻の駆除後に再発を防ぐためには、以下の対策を総合的に行うことが重要です。
【再発防止策1】侵入経路の遮断
- 隙間を塞ぐ: 蟻はわずかな隙間からでも侵入してきます。窓枠、ドアの隙間、壁のひび割れ、配管周りなどを、コーキング剤やパテ、隙間テープなどでしっかりと塞ぎましょう。
- 網戸のチェック: 網戸に破れや隙間がないか確認し、必要に応じて補修または交換しましょう。
- 換気扇のフィルター清掃: 換気扇のフィルターは、蟻の侵入経路になりやすいので、定期的に清掃しましょう。
【再発防止策2】清潔な環境の維持
- こまめな掃除: 食べかすや飲みこぼし、ペットフードなどを放置しないようにし、床やテーブルの上を常に清潔に保ちましょう。
- 生ゴミの処理: 生ゴミは密閉できるゴミ箱に入れ、こまめに捨てるようにしましょう。特に夏場は腐敗しやすいため、注意が必要です。
- 水気の除去: 水滴や湿気は蟻を誘引するため、シンクや水回り、窓際などはこまめに拭き取り、乾燥した状態を保ちましょう。
- 食品の保管: 砂糖や蜂蜜、お菓子などは密閉容器に入れて保管し、蟻が近づけないようにしましょう。
【再発防止策3】忌避剤の使用
ミント、ハッカ油、柑橘系の香り、シナモン、コーヒーかすなどは、蟻が嫌がる成分が含まれています。
これらの成分を、侵入経路になりそうな場所や、蟻がよく出没する場所にスプレーしたり、置いておくことで、蟻の侵入を防ぐ効果が期待できます。
ホームセンターやドラッグストアなどでも様々な種類の忌避剤が販売されています。
アリの種類や使用場所に合ったものを選びましょう。
【再発防止策4】定期的なチェック
定期的に家の中や外をチェックし、蟻の行列や糞などの「蟻の痕跡」がないか確認しましょう。
早期発見・早期対処が再発防止のカギとなります。
【再発防止策5】専門業者による定期点検
自分でできる対策に加えて、専門業者による定期点検を受けることも有効です。
専門家は、蟻の侵入経路や巣の可能性がある場所を的確に判断し、適切なアドバイスや予防処置を提案してくれます。
まとめ
本記事では、大量発生しやすい蟻の種類と種類に応じた駆除方法や再発防止対策を説明させていただきました。
本記事ではご自身で駆除されるケースをご説明しましたが、蟻の数が非常に多く、駆除が困難な場合は、専門業者に駆除を依頼する方が安全かつ確実です。
特にイエヒメアリは繁殖力が強く、複数の女王アリがいる場合もあるため、徹底的な駆除が必要です。
家の中の対策以外にも、庭木が家屋の壁や屋根に触れていると、蟻がそこから侵入する可能性がありますますので、定期的に剪定し、家屋との間に距離を保つなどの対策も必要です。
また、外壁のひび割れ補修: 外壁のひび割れは、蟻の侵入経路になるだけでなく、雨漏りの原因にもなりますので、早急に補修しましょう。
蟻の再発防止には、継続的に行うことが重要です。
一つ一つの対策は小さなことかもしれませんが、積み重ねることで大きな効果を発揮します。