家の解体を無許可業者に依頼した場合のリスクと対策

家の解体は大がかりな作業であり、専門的な知識と法的な手続きが求められます。

しかし、中には「安く済ませたい」「早く対応してほしい」といった理由から、許可を持たない業者に依頼してしまうケースも見られます。

実際、無許可業者による不適切な工事や不法投棄に関するニュースも後を絶ちません。

本記事では、無許可業者に依頼した際のリスクやその対策を通じて、安全で適正な解体工事を進めるための知識を提供します。

解体工事の無許可業者とは?

解体工事において「無許可業者」とは、法律で定められた建設業の許可や産業廃棄物処理の資格を持たない業者を指します。

解体工事を行うには、「建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律」に基づいた「解体工事業」の登録又は建設業許可の「解体工事業」の許可を受けることが必要です。

500万円以上の解体工事を請け負う場合には「解体工事業」の許可が必要です。

500万円未満の解体工事を請け負う場合には「解体工事業」の登録が必要です。

解体業者が産業廃棄物を処理場まで運搬する場合は、廃棄物処理法に基づく「産業廃棄物収集運搬業」の許可も必要です。

無許可業者とは、これらの必要な登録や許可を持たずに工事を請け負っている事業者のことです。

たとえば、軽微な解体作業のみを請け負う個人事業主が届出を怠っているケースなどが該当します。

こうした業者は表面上、安価な見積もりやスピーディーな対応をアピールすることがありますが、法的な義務を果たしていないため、後々トラブルになることが少なくありません。

無許可業者に依頼をするリスク

無許可業者に解体を依頼した場合、以下のようなリスクが生じる可能性があります。

不適切な廃棄物処理による不法投棄

廃棄物処理法に違反し、産業廃棄物を不法投棄する悪質な業者に依頼してしまった場合、依頼者自身が責任を問われる可能性もあり、大きな損害(罰金や訴訟、行政処分)につながることがあります。

さらに、違法に処理された廃棄物が後に発見された場合、過去にさかのぼって責任を追及されることもあります。

依頼者が故意でなかったとしても、「排出事業者責任」の原則により厳しく問われることがあるため、安易な判断は避けるべきです。

近隣住民とのトラブル(騒音・振動・粉塵など)

適切な知識や技術がないため、工事が不適切に行われ、近隣に損害を与えたり、後々問題が発生したりする可能性もあります。

特に住宅密集地では、苦情や訴訟に発展する可能性があり、地域コミュニティとの関係悪化につながることもあります。

解体中の事故や怪我への補償問題

損害賠償保険に加入していない場合、事故やトラブルが発生した際に十分な対応ができないことがあります。

作業員の安全管理が不十分な場合、重大な労災事故が発生する危険性があり、その際の責任が依頼主に問われることもあります。

見積りのトラブル

見積もりが不透明で、後から不当な追加費用を請求されることもあります。

無許可業者を利用するリスクは非常に大きく、単に費用が安いという理由だけで選ぶのは危険です。

許可の有無を確認することは、安全で安心な解体工事を行うための最低限の条件と言えるでしょう。

許可業者の確認方法

解体業工事登録をしているかは以下の方法で確認ができます。

確認方法詳細
埼玉県庁ホームページ解体工事業登録・県内業者名簿(エクセル:124KB)」が掲載されています。
東京都都市整備局ホームページ建設リサイクル法:解体工事業者登録について」のページで「解体工事業者登録一覧【令和7年3月末現在】」が掲載されています。
国土交通省「建設業者・宅建業者等企業情報検索システム」建設業者・宅建業者等企業情報検索システム」で全国の建設業許可業者を検索できます。解体工事業の許可の有無も確認できます。
許可番号や登録番号の確認業者に許可番号や登録番号を提示してもらい、都庁や県庁などに有効性を確認することも可能です。
業者のホームページ許可や資格の取得実績、許可番号・登録番号が掲載されているか確認しましょう。
解体工事専門の情報サイト解体業者を検索できるサイトも活用できます。ただし、情報が最新でない場合もあるため、必ず他の方法でも確認しましょう。

建設業許可には「一般建設業」と「特定建設業」があり、特定建設業の許可はより大規模な工事を請け負うために必要となります。

請け負う工事の規模に合わせて、適切な許可を持っているか確認することも重要です。

また、解体業者の行政処分履歴を国土交通省の「ネガティブ情報等検索サイト」で確認することも、業者選びの参考になります。

解体工事を行うには、建設業法に基づく土木、建築、解体工事の許可を受けているか、または建設資材リサイクル法に基づく解体工事業の登録が必要です。

この登録は5年ごとに更新が必要であり、有効期限を確認することも重要です。

家の解体を無許可業者に依頼しないための対策

家の解体を無許可業者に依頼しないための対策

無許可業者とのトラブルを避けるためには、事前の情報収集と確認が欠かせません。

無許可の業者に依頼しないための対策とチェックポイント

以下のチェックリストを印刷して現地で確認すると便利です。ポイントを押さえて、無許可業者への依頼を未然に防ぎましょう。

  • 解体工事業者が「建設業許可」または「解体工事業の登録」を持っているか確認
  • 産業廃棄物収集運搬業の許可証の提示を求める
  • 工事前に「建設リサイクル法」に基づく届出を行う意識があるかを確認
  • 事業者の所在地、連絡先、過去の施工実績をチェックする(自治体の登録名簿などで確認可能)
  • 見積書に詳細な内容(分別解体、廃棄物処理費用など)が明記されているか

これらを確認することで、信頼できる業者かどうかをある程度見極めることができます。

信頼できる解体業者を見極めるポイント

信頼できる業者を選ぶには、以下の点も参考になります。

  • 地元の自治体や建築士事務所などの紹介を活用する
  • ホームページに施工実績や許可番号が明記されているか確認する
  • 解体工事前に丁寧な説明や現地調査を行ってくれるか
  • 賠償責任保険への加入有無を確認する
  • 契約書類が明確で、法的な観点から整備されているか

丁寧で透明性のある対応をしてくれる業者は、後々のトラブルも少なく安心して任せることができます。

まとめ

まとめ

家の解体は法律や安全に深く関わる重要な作業です。安易に価格だけで判断し無許可業者に依頼してしまうと、取り返しのつかないリスクに直面する可能性があります。

適切な許可と実績を持つ業者を選び、安心して解体作業を進めるためには、事前のチェックと信頼できる情報源(例:自治体の登録名簿や業界団体のリスト)の活用が鍵となります。

解体業者選びの際にこの記事が少しでも参考になりましたら幸いです。