家の解体 タンスなど置いておいて良い?


家の解体を控え、室内に残るタンスや家電など大型家具の処分に悩んでいませんか?

結論から言うと、解体時にはタンス等の家具・家電は基本的にすべて事前に撤去するのが望ましいです。 

解体業者に「そのまま残しておいていいですよ」と言われない限り、自分で処分するのが一般的な対応になります。

なぜなら、法律上も費用面でも家財道具は残したままにしない方がメリットが大きいからです。

本記事では、解体前に家具を片付けるべき理由や、残しておいてよい物・ダメな物の見極め方、そして家具や家電の具体的な処分方法と費用について専門家が解説します。

家の解体時に家具や家電を残したままにするとどうなる?

家を解体する際、「どうせ解体するなら、家具や家電も一緒に解体できないの?」と疑問に思う方も多いでしょう。

基本的には、家の中のタンス・ベッド・冷蔵庫など 残置物(前の持ち主が残した物)はすべて撤去するのが原則です。(参考:環境省『建築物の解体時等における残置物の取扱いについて(通知)』)

これは解体工事で発生する廃棄物の区分に関係があります。

解体で出る建物の廃材(多くは産業廃棄物)と、室内の家財や生活ごみ(一般廃棄物)は法令上の区分が異なり、それぞれに許可・処理ルートが定められています

一般廃棄物は市町村または市町村許可業者しか収集運搬できず、産業廃棄物の許可だけでは扱えません。

したがって同一ルートでの処理や無許可の取扱いはできません

見積り時に処理区分と許可の有無を必ず確認しましょう。

多くの解体業者は産業廃棄物の処理はできますが、自治体の許可を持たない限り家庭ゴミ(一般廃棄物)の収集運搬・処分はできません。

そのため、解体業者は「家の中は空っぽにして下さい」と事前片付けを求めるのが通常なのです。(参考:九都県市首脳会議廃棄物問題検討委員会ホームページ『建物解体時の建物内に残された家具、什器等の残置物の処理責任は誰ですか?』)

法律面だけでなく費用面でも、残置物は残さない方が得策です。

解体業者に家具の処分まで任せることはできますが、解体費用とは別に残置物の撤去処分費用が加算され、高額になりがちです。

例えば、解体業者に不用品処分を依頼すると1軒あたり最低でも10万円以上の費用が請求されるケースが多く、大型家具1点ごとに数千円〜1万円超の追加料金がかかることもあります。

特に重量があるタンスやベッド類、運搬に手間のかかる冷蔵庫・洗濯機などは「追加作業=追加費用」と考えられます。

一方で、自分で自治体の粗大ごみ回収や処理施設を利用すれば数百円〜数千円程度のコストで済む場合も多いです。

費用面から見ても、可能な限り解体前に家の中を空にしておくことをおすすめします。

残しておいて良いもの・ダメなもの一覧

残しておいて良いもの・ダメなもの一覧

「基本は全て片付けるべき」とはいえ、「解体前に何から何まで処分しなきゃいけないの?」と不安になりますよね。

実際には建物に付属するもの(造り付けの設備や内装材など)や少量の残置物であれば、解体業者がそのまま撤去してくれるケースもあります。

ここでは残しても問題ない物と、事前に撤去必須な物を整理します。

以下の表に主な例をまとめました。

分類・品目残してOK?理由・条件
大型木製家具(タンス・食器棚等)△ (基本撤去だが業者と要相談)業者によっては木材廃棄物として解体時にまとめて処理してくれる場合あり。
ただし合板や塗装家具はNGのこともあるため事前確認必須。
処理を任せる場合も産業廃棄物扱いで別途費用が発生しがち。
冷蔵庫・洗濯機など大型家電× 残置不可家電リサイクル法の対象品目であり、解体業者では処分できません。
購入店への引取依頼や指定引取場所への持込など、法律に沿った方法での自費処分が必要です。
エアコン(クーラー)× 残置不可壁据付のエアコンはフロンガス回収等の専門処理が法律で義務付けられています。
適切な処理のために専門業者への依頼が推奨されます。
解体業者に頼む場合でも別途5,000~15,000円程度の取り外し費用がかかるケースが一般的です。
布団・衣類・生活雑貨× 残置不可一般家庭ごみは解体業者では処分不可な場合がほとんど。
とくに衣類や布団、生ゴミ類は自治体の可燃ごみ・不燃ごみ収集ルールに従い処分を。
大量に残すと「残置物撤去費用」として高額請求につながります。
カーテン・カーペット類〇 (業者と相談)業者によっては解体作業中に一緒に撤去してくれることが多いです。
取り外しが面倒な場合は相談可。
ただし可燃素材で量が多い場合は残置物扱いになる可能性もあるため注意。
畳・襖・障子〇 (そのままでOK)畳や襖は建物の一部として解体範囲に含まれることが一般的です。
再利用できるケースもあり、外して処分しなくても問題ない場合があります。
古すぎて劣化している畳などは念のため業者に事前確認すると安心です。
据付の設備(照明・給湯器等)△ (基本撤去だが相談可)照明器具や給湯器、換気扇などは解体前に外しておくのが原則ですが、解体業者が工事内で取り外す場合もあります。
再利用予定がなければ処分を任せてもOKか事前に確認しましょう。
エアコンは前述の通り専門業者対応が必要です。
外構・建材(塀・金属部品・壁内配線等)〇 残置OKブロック塀や金属フェンス、壁の中の配線や断熱材などは解体工事の一環で撤去されます。
金属製品は資源として業者が買い取ってくれる場合もありお得です。
倒壊の恐れがある老朽塀なども含め、外構は基本そのままで問題ありません。
危険物(塗料・スプレー缶・灯油等)× 厳禁引火・爆発の危険があるスプレー缶や塗料、ガソリン・灯油類は絶対に残さないでください
これらは自治体の指示に従い適切に処分する必要があります。
処理せず放置すると解体作業員の安全を損ない、大変危険です。

解体業者によって「どこまで残してOKか」の対応範囲は異なります

上記は一般的な目安ですが、最終的には契約前の打ち合わせで業者に確認することが大切です。

「これは残して平気かな?」と迷う物があれば、現地見積もり時に遠慮なく相談しましょう。

曖昧にせず書面で取り決めておくことで、後日のトラブル防止にもなります

家具・家電の処分方法と費用

解体前の片付けにおいて悩むのが、大量の家具や不用品を「自分で処分すべきか、業者に任せるべきか」という点でしょう。

ここでは主な処分方法のメリット・デメリットと費用目安を比較します。

自力処分と業者依頼では費用に大きな差が出るため、状況に応じて使い分けましょう。

処分方法概要費用目安メリット注意点
自治体の粗大ごみ回収市区町村に申し込み、大型ごみを戸別収集してもらう方法。役所で処理券(シール)を購入し、指定日に家具を玄関先に出す。数百円〜2,500円程度/点
(例:東京都23区は~1,000円台が多い)
低コスト。自治体によっては無料または格安で回収してもらえる。申し込みしておけば、当日は出すだけなので手軽。要予約(回収まで1〜2週間待ちも)。1回の申込で出せる点数に上限あり。解体日程に間に合うよう早めに手配が必要です。テレビ・冷蔵庫等リサイクル家電は対象外。
自治体の処理施設へ持ち込み不要品を自分で市のクリーンセンター等に運搬し、直接処分する方法。自家用車やレンタカーを使って搬入する。重量制料金(例:100円/10kg)
※自治体により異なる(多くは10kgあたり数十〜数百円)
単価が安いため大量でも低コスト。自分の都合で持ち込め、一度に大量処分が可能。仕分けして持ち込めば資源ごみは無料の場合も。車両と労力が必要。大型家具は解体しないと載らないことも。施設の受入日時・品目制限に注意。重量物は積み下ろしも大変なので無理は禁物。
リサイクルショップ・買取使えそうな家具家電を中古買い取り業者に引き取ってもらうか、店頭に持ち込む。出張査定サービスも利用可。0円〜むしろ収入になることも
(買取金額は品物の需要・状態による)
売却益が出る可能性。まだ使える物を有効活用できる。大型家具も出張買取なら運び出しもしてもらえる。古すぎる物は値段が付かない場合も多い(逆に処分費を請求されるケースもあり)。買い取り不可と言われてから別途処分手段を探す手間が発生することも。時間に余裕がある方向き。
フリマアプリ・知人への譲渡メルカリ・ジモティーなどで不要品を出品したり、欲しい人に無償提供する。送料のみ/手渡しなら無料
(むしろ売れればプラス収入)
廃棄せずに済むので環境的にも◎。思わぬ高値がつくことも。引取手が見つかれば大型家具の搬出も相手が対応。時間と手間がかかる。梱包・発送や、引き取り日程の調整が必要。結局引き取り手が見つからず時間切れになるリスクも。解体日が迫っている場合は不向き。
不用品回収業者に依頼民間の回収業者に自宅まで来てもらい、不要品をまとめて引き取ってもらう。遺品整理業者含む。数万円〜(トラック積み放題プラン等)
例:1Kの家財全処分で3〜8万円、2DKで10万円以上など
即日〜早期対応が可能。仕分け・搬出もお任せで手間がかからない。解体前の大量処分も一括で片付く費用が割高。家一軒分の遺品整理では20〜50万円以上かかる例もあり。悪質業者だと不法投棄される恐れもあるため、許可業者か確認必須。自治体の無料回収トラック(スピーカーで巡回)等は違法業者の可能性があるので注意。
解体業者に処分を依頼解体工事のオプションサービスとして、残置物の撤去処分もまとめて依頼する。十万円単位
(不用品全部お任せの場合、10万〜数十万円が追加)
※目安: 大型家具1点3,000〜15,000円
完全に丸投げできる安心感。家屋の解体と一緒に不用品処理も行うため、別途日程を組む必要がない。時間がない場合は最終手段として検討。費用が非常に高額。解体費用とは別立てで「残置物撤去費」として請求されます。見積もり段階で費用内訳を要確認し、可能なら事前に自分で減らす努力をしましょう。「空き家丸ごと処分可」等と宣伝する解体業者もありますが、安すぎる場合は不法投棄のリスクもあるため注意が必要です。

追加費用トラブルを防ぐコツ

解体工事を依頼する前に、残置物処分の範囲と費用を業者と詳細に打ち合わせることが大切です

契約前に「〇〇と△△は残しても処分してもらえるか」「残した場合いくら追加かかるか」を明確に尋ねましょう。

業者によっては「家具の解体当日処分OK(ただし有料)」という所もあれば、「一切残さないで」と厳格な所もあります。

見積もり時の現地確認で不用品の量を見てもらい、追加費用も含めた見積額を出してもらうことが重要です。

もし大量の残置物がある場合は、解体業者と連携して先に遺品整理業者に片付けを依頼する方法も検討しましょう。

その際、複数社から相見積もりを取り、対応範囲や費用を比較するのがおすすめです。

まとめ

家屋の解体時、「タンスなど家具を置いておいて良いか?」という疑問に対する答えは、基本的には「NO」です。

法律上も解体前に家の中を空にするのが原則ですし、残したままでは処分費用が高額になるリスクがあります。

事前に片付けをする手間はかかりますが、その分解体費用を大幅に節約できます。

自治体サービスやリサイクルを上手に活用し、不用品を減らしておきましょう。

とはいえ、事情があってどうしても撤去しきれない物がある場合は、解体業者に相談すれば対応してもらえるケースもあります

その際は追加費用や処分方法について事前に確認し、納得した上で任せることが大切です。

自治体によっては老朽空き家の解体費用に補助金が出るところもあり、経済的負担を減らす制度も存在します。

お住まいの地域の制度もチェックしつつ、安全かつ適正な方法で家の解体準備を進めましょう

専門家に相談しながら進めれば、「こんなに詳しくて分かりやすい!」と思えるスムーズな片付けと解体が実現できるはずです。

お困りの際はお気軽にプロの解体業者へご相談ください。