生活保護受給者の「施設から施設への引っ越し」の手続きと注意点

はじめに

現在生活保護を受給して福祉施設に入居している方で、「別の施設に引っ越しできるのだろうか?」と不安に思っている方は少なくありません。

たとえば介護施設やグループホームから他の施設への移動を検討していても、「生活保護を受けていると自由に転居できないのでは?」と悩むケースがあります。

結論から言えば、生活保護受給者であっても正当な理由があれば施設から施設への引っ越しは可能です。

しかし、転居にあたっては事前に所定の手続きや許可が必要であり、自由に引っ越しできるわけではありません。

本記事では、生活保護受給者が施設間の引っ越しを行う際の条件や手続き、費用負担の仕組みについて、公式情報に基づきながらわかりやすく解説します。

施設から施設への転居はできますか

生活保護を受給している方でも、必要が認められれば施設から別の施設への転居は可能です。

日本国憲法では居住・移転の自由が保障されており、生活保護受給者であっても基本的に引っ越し自体は禁止されていません。

ただし、生活保護受給中に転居(住所の変更)や世帯状況に変更がある場合は、速やかに福祉事務所へ届け出る義務があります。

(届出の義務)
第六十一条 被保護者は、収入、支出その他生計の状況について変動があつたとき、又は居住地若しくは世帯の構成に異動があつたときは、すみやかに、保護の実施機関又は福祉事務所長にその旨を届け出なければならない。

生活保護法

そのため、施設から別の施設へ移るときは、まず担当ケースワーカーに事情を説明し、必要な手続きや支給の可否を確認してから進めることが大切です。

事前相談や届出をせずに転居すると、連絡が取れない・生活実態が確認できない等の理由で支給や手続きが一時的に止まる又はやり直しになることがあります。

では、どのような場合に「正当な理由」があると判断され、転居が認められやすいのでしょうか。

以下では、転居が認められるケース認められにくいケースの一例を比較表にまとめます。

転居が認められるケースと認められにくいケース
転居が認められやすい場合(正当な理由の例)転居が認められにくい場合(不許可となる例)
現在入居中の施設が閉鎖・退所指示などで退去せざるを得ない場合(施設利用期間の終了や退所勧告等)個人的な希望や気分による転居(明確な必要性がない場合)
現施設の費用が高額で経済的に持続困難な場合(住宅扶助基準を超える負担があり、より低廉な施設への転居指導を受けた場合)ケースワーカーに事前相談・許可を得ず無断で転居した場合
現在の施設環境では健康上または療養上問題がある場合(建物の老朽化や設備不備で生活に支障がある、医師から環境改善の指導を受けた等)生活保護の基準を超える高額な施設への入居希望(費用が生活保護で賄えない場合)
DV被害やストーカー被害から身の安全を確保するため緊急に転居が必要な場合現在の施設で問題なく生活できているのに環境を変えたいだけの場合(必要性が客観的に認められない場合)
家族の介護・支援を受けるため親族の近くの施設に転居する必要がある場合(※金銭的余裕があるとして生活保護継続自体が難しくなる可能性もあります)

上記のように、現在の生活環境で継続困難な事情ややむを得ない理由がある場合には、福祉事務所も転居の必要性を認めやすくなります。

一方で、「なんとなく今の施設が合わないから変わりたい」など主観的な理由のみでは許可は下りにくいのが現状です。

まずはケースワーカーに率直に相談し、転居の必要性をしっかり説明することが大切です。

ケースワーカーはその情報をもとに、本当に転居が必要か、費用扶助が妥当かを判断します。

施設間の引っ越し手続きの流れ

施設間の引っ越し手続きの流れ

では、ケースワーカーの許可がおりた場合、具体的にどのような手続きを踏めばよいのでしょうか。

ここでは施設から施設への転居手続きの一般的な流れを解説します。

基本的な流れは以下のとおりです。

  1. ケースワーカーへ事前相談・許可取得:転居理由や新しい施設の候補について事前に相談し、必要性について理解・許可を得ます。
  2. 新しい施設探し・受け入れ確認:希望する転居先の施設を探し、その施設が生活保護受給者を受け入れてくれるかを確認します。入居条件や利用料を確認し、生活保護の範囲内で利用可能か検討します。必要に応じて施設担当者とも面談し、入居申込みを行います。
  3. 見積もり取得・費用申請:転居が正式に決まったら、引っ越し業者から複数の見積もりを取得します。引っ越し費用の申請では、複数社の見積書の提出を求められることが多いです(目安として2~3社など、社数は自治体の運用によって異なります)。ケースワーカーの指示に従って、必要な社数・書式で見積書を準備しましょう。
  4. 福祉事務所の審査・決定:福祉事務所が提出書類を審査し、転居および費用扶助の可否を決定します。問題なく許可が下りれば、転居費用や敷金等の支給額が確定します(支給額には上限があります。詳細は後述)。
  5. 旧施設の退去手続き・新施設への入居:現に入居している施設には事前に退去日を伝え、必要な退所手続きを行います。新しい施設への入居日と合わせて調整し、可能であれば連続した日程で退去・入居することが望ましいです(生活保護費の支給が途切れないようにするため)。引っ越し当日は業者に荷物を運搬してもらい、新居(新しい施設)での入居手続きを完了させます。最後に、新施設の住所を管轄する福祉事務所に生活保護の継続手続きを行いましょう。

以上が基本的な流れです。

なお、転居手続きの中で特に注意すべきポイントについて、この後さらに詳しく説明します。

新しい施設を探す際のチェックポイント

新しい施設を探す際のチェックポイント

新しい受け入れ先の施設探しは慎重に行いましょう。

特に以下のポイントを事前に確認することが重要です。

受け入れ可否の確認

候補の施設が生活保護受給者の入居を受け入れているか確認します。

民間の有料老人ホームなどでは「生活保護利用不可」としている所もあり、その場合はいくら費用を生活保護内で賄えても入居できません。

必ず「生活保護受給者可」かどうか施設側に問い合わせましょう。

費用・利用料の確認

施設の月額費用や家賃相当額が住宅扶助の範囲内かチェックします。

生活保護には地域ごとに住宅扶助(住居費)の上限額があります。

例えば、東京23区(1級地-1)の単身世帯では、住宅扶助の家賃等の上限は月53,700円(令和7年4月時点の例)と示されています。(※最新の上限や取扱いは自治体ごとに確認してください。)

新しい施設の費用がこの上限を超える場合、生活保護から全額は出ず差額は自己負担となる可能性があります。

自治体によって基準額が異なるため、転居先の自治体での住宅扶助基準額も事前に確認しておきましょう。

また、施設によっては入居一時金や保証金が必要な場合もありますが、高額な入居一時金が必要な施設は生活保護では利用が難しいのが現実です。

ケースワーカーと費用面の相談を十分に行い、生活保護の範囲内で利用可能な施設を選ぶことが大切です。

身元引受人・保証人の要否

施設によっては身元引受人や保証人を求められることがあります。

高齢者施設では万一入院した際や死亡時の対応のため保証人を要求されるケースが多いです。

身寄りがない場合は保証会社の利用や成年後見人制度の活用なども検討しましょう。

事前に施設へ保証人要件を確認し、必要であればケースワーカーや親族と相談して対応策を準備してください。

空き状況と入居時期

希望する施設に空きがない場合、入居待ちになることもあります。

特に公的な特別養護老人ホーム(特養)などは待機者が多く、入居まで時間がかかることも少なくありません。

早めに情報収集を行い、ケースワーカーにも相談しておくことでスムーズに進めやすくなります。

入居待ちの間、現在の施設に引き続き滞在できるか、あるいは一時的な別施設や病院等の調整が必要かも検討しましょう。


こうしたポイントを踏まえ、広い範囲で候補施設を探すことも重要です。

生活保護受給者を受け入れてくれる施設は限られるため、地元にこだわらず情報を集める必要があります。

施設探しから入居手続きまで、ケアマネージャー(介護支援専門員)やケースワーカーとも連携しながら進めると安心です。

自治体をまたぐ引っ越しと「移管」手続き

現在の自治体とは別の自治体にある施設へ転居する場合、生活保護の管轄替え(移管)という手続きが必要になります。

生活保護は国の制度とはいえ実務は市区町村が行っているため、引っ越し先の自治体が変わると原則として新しい自治体で改めて保護を開始する仕組みです。

具体的には、現住所地の福祉事務所が生活保護廃止を決定し、新住所地の福祉事務所が生活保護開始を決定するという二段階の手続きを連続して行います。

この際、両自治体のケースワーカー同士が事前に連絡調整を行い、支給が中断しないように配慮されます。※ご本人が個別に手続きをする必要は基本的になく、ケースワーカー間で事務手続きが進められます。

重要なのは、必ず現自治体のケースワーカーに事前相談をすることです。

自己判断で先に引っ越してしまうと、移管手続きが間に合わず生活保護が一時停止になる恐れがあります。

「転居後に新しい役所で申請すればいい」と安易に考えず、必ず事前に現在の福祉事務所と新住所地の福祉事務所双方の調整を経て転居日を決めましょう。

他市区町村の施設へ転居する場合、生活保護の「実施責任(どの自治体の福祉事務所が担当するか)」が変わることがあります。

ただし、施設の種類によっては、転居先(施設所在地)の自治体ではなく、入居前の居住地を所管する自治体が引き続き実施責任を負う取扱いもあります。

令和7年(2025年)4月1日以後、軽費老人ホーム・有料老人ホームへの入居では、原則として入居前の居住地または現在地を所管する福祉事務所が実施責任を負うと整理されています(※経過措置あり)。

一方で、認知症対応型共同生活介護(グループホーム)等は施設所在地が実施責任を負う取扱いです。

したがって「自治体をまたぐ=必ず移管」と決めつけず、必ず担当ケースワーカーに確認して、どの福祉事務所で継続手続きになるかを確定させてから日程を決めましょう。

引っ越し費用と諸費用の負担について

生活保護受給者が転居する際の費用についても気になるところでしょう。

結論から言えば、正当な理由にもとづく転居で福祉事務所の許可を得られれば、引っ越し費用や敷金などの初期費用は生活保護から支給(住宅扶助)される可能性があります

生活保護制度の住宅扶助には家賃だけでなく敷金・礼金や引っ越し業者代なども含めて支給できる枠組みがあり、条件さえ満たせば負担を大きく減らすことができます。

支給される費用の例

敷金、礼金、仲介手数料、火災保険料、引越し業者への運搬費など。

特に引っ越し業者費用については前述の通り複数(目安として2~3社など、社数は自治体の運用によって異なります)の見積もり取得が必要です。

自治体ごとに上限額は異なりますが、いずれにせよ「最安値の業者を利用する」ことが条件と考えてください。

また、新居の家賃や施設利用料についても住宅扶助の上限額までしか支給されません。

上限を超える分は自己負担となるため、予算内の施設を選ぶことが必要です。

支給されない費用の例

旧居(現在の施設)の原状回復費用や清掃代、契約違反による違約金、引っ越しに伴う家具・家電の購入費などは原則として支給対象外です。

例えば、退去時のハウスクリーニング代や修繕費は自己負担となります。

どうしても必要な最低限の家具(寝具など)を全く持っていない場合のみ例外的に「家財什器費」の支給が検討されることもありますが、基本は自費と考えておきましょう。

注意点

自己都合による転居で福祉事務所の許可が下りなかった場合、これらの費用は一切支給されません。

さらに、自費で高額な引っ越しを行った場合、「生活に余裕がある」とみなされて生活保護の継続自体が危ぶまれる可能性もあります。

そうならないように、必ず事前にケースワーカーと相談しながら進め、必要な費用の支給決定を受けてから正式に転居を実行するようにしましょう。

まとめ

まとめ

生活保護受給者が「施設から施設への引っ越し」を行うことは、適切な理由と手続きを踏めば十分に可能です。

むしろ、現在の施設での生活が困難な場合や、より良いケアを受けられる環境が他にある場合には、生活保護制度もそれを支援する仕組みを用意しています。

大切なのは、独断で動かずに必ず福祉事務所に事前相談すること、そして公式の制度や支給を上手に活用することです。

転居先の施設選びにおいては、受け入れ可否や費用面など確認すべき点が多くありますが、ケースワーカーやケアマネージャーの協力を得ながら進めれば心強いでしょう。

必要と認められれば引っ越し費用や敷金なども支給され、経済的負担も最小限に抑えることができます。

転居を通じて生活環境が改善し、自立や健康維持にプラスになるのであれば、福祉事務所も前向きに支援してくれるはずです。

全国どの地域でも、困ったときは遠慮せず自治体の担当窓口に相談し、適切な制度の利用につなげてください。

専門家として、皆さんのより良い生活のための選択肢として「施設から施設への引っ越し」がスムーズに実現することを願っています。

困ったときは一人で抱え込まず、行政や支援団体の力も借りながら、より良い生活環境を目指していきましょう。

参考資料リンク先

株式会社サンクルへご相談ください

サンクルの軽トラック引越し

当社(株式会社サンクル)は軽トラックでの引越し業務に加えて、不用品処分、買取などもおこなっています。

さらに、介護施設入居では「運ぶ」だけでなく、

  • 退去する家の不用品処分
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など、周辺作業が同時に発生しがちです。

当社ではこれらの付随作業にも対応していますので、ご本人様やご家族様の負担を減らすこともできると思います。

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