日本には様々な高齢者向けの介護施設があり、それぞれの施設は異なる居住環境やサービスを提供しています。
介護施設を選ぶ際、施設の種類や居室の広さは重要な要素です。
この記事では、各種介護施設の特徴と居室の広さを分かりやすくご説明したいと思います。
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高齢者向け介護施設の居室の広さ比較
高齢者向け施設の居室の広さは、各施設によって最低面積基準が異なります。
以下の表は、主な高齢者向け施設の居室の最低面積基準を比較したものです。
施設の種類 | 1人あたりの最低面積 | 畳数換算(約) |
---|---|---|
特別養護老人ホーム(特養) | 10.65㎡ | 6.5畳 |
有料老人ホーム | 13㎡ | 8畳 |
サービス付き高齢者向け住宅 | 25㎡(共用部あり18㎡) | 15畳(11畳) |
グループホーム | 7.43㎡ | 4.5畳 |
介護老人保健施設(老健) | 8㎡(定員4人以下の多床室) | 5畳 |
軽費老人ホーム(ケアハウス) | 21.6㎡(単身)・31.9m²(夫婦) | 13畳・19畳 |
都市型軽費老人ホーム | 7.43㎡ | 4.5畳 |
高齢者向けの介護施設の種類と居室の広さ
高齢者向けの介護施設は居住者のニーズに応じて多様な種類があり、その選択は生活の質を大きく左右します。
特に居室の広さは快適な生活空間を確保するために重要な要素です。
特別養護老人ホーム
特別養護老人ホーム(特養)は、重度の介護が必要な高齢者が長期間生活する施設として知られています。
この施設は公共または民間によって運営され、比較的低コストで利用できるため、多くの人々に選ばれています。
特別養護老人ホームの1人あたりの最低居室面積は、ユニット型個室と多床室の両方で10.65㎡以上と定められています。
これは、介護ベッドと最低限の家具を配置するのに適した広さです。
プライバシーを保つために個室が増えつつある一方、二人部屋や四人部屋といったシェアタイプの部屋も存在します。
共用のリビングやダイニングが設けられ、居住者同士の交流の場となることが多いです。
特養の居室設定は、お年寄りが安心して過ごせるよう、バリアフリー構造であることが求められます。
さらに、個人の尊厳を重視する最近の傾向から、可能な限り個室化が推進されています。
家族との連絡も重要となり、面会しやすい環境が整っているかも選ぶ際に注目すべきポイントです。
特別養護老人ホームの居室の広さに関する記事
特別養護老人ホームの「ユニット型個室」の広さ
有料老人ホーム
有料老人ホームは、介護付き、住宅型、健康型といった種類があり、それぞれ全く異なる特性を持っています。
介護付き有料老人ホームでは、手厚い介護サービスを提供し、24時間体制のケアが可能です。
有料老人ホームの居室は13㎡以上が基準となっており、洗面台やトイレが個室内に設置されていることが多いです。
この広さは、一般的な1人暮らし用のアパートの部屋とほぼ同等で、比較的快適に過ごせる空間となっています。
居室はおおよそ20平方メートルから40平方メートルの広さのものが多く、充実した個室環境が整っています。
住宅型においては、基本的に介護は外部のサービスを受ける形式であり、さらに自由度の高い生活設計が求められます。
健康型は、自立した生活を送るための設備が充実しており、適度な運動やレクリエーションの機会が多く設けられています。
どの形態を選ぶにせよ、有料老人ホームでは快適な生活を実現するための環境が整えられており、居住者のライフスタイルに合わせた多様なサービスを柔軟に選ぶことができます。
サービス付き高齢者向け住宅
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)は、一般的に自立した生活ができる高齢者を対象とし、必要な時に介護サービスを受けられるという特徴を持っています。(詳しくは『サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)とは』のページでご説明していますので、ご参照下さい。)
サービス付き高齢者向け住宅は、原則として25㎡以上と最も広い居室面積が求められています。
これは、キッチンや浴室などの設備を含む広さであり、自立した生活を送るのに適しています。
ただし、共用部分が十分に確保されている場合は18㎡以上でも可能とされています。
居室は主に単身向けのコンパクトな設計が多く、24㎡程度の広さのものが多くありますが、中には夫婦で入居可能な広めの間取りがある場合もあります。
これらの住宅では、個室のみに生活空間が設えてあるケースが多いですが、賃貸の集合住宅をベースとしているため、一般的なアパートメントのようにキッチンやトイレ、バスルームが備え付けられています。
また、居室の自由度が高く、インテリアを自分好みに整えることができるのも魅力の一つです。
サ高住のポイントとしては、契約内容で受けられるサービスが異なるため、どの程度の介護支援を受ける必要があるのか事前に確認しておくことが重要です。
認知症高齢者グループホーム
認知症高齢者グループホーム(グループホーム)は、認知症を抱える高齢者が少人数で共同生活を送ることができる介護施設です。
家庭的な雰囲気の中、認知症状を軽減し、安定した生活リズムを保つためのサポートを提供します。
グループホームの居室は個室が基本で、7.43㎡以上と比較的狭いですが、これは共用のリビングや食堂で過ごす時間が多いことを考慮しています。
ただし、共有スペースを多く備えており、キッチンやリビングを入居者が共用することが一般的です。
少人数のユニットケア形態をとることで、居住者間の密なコミュニケーションが可能です。
グループホームでは、日常生活の支援とともに地域社会との関係性も重視しており、スタッフと入居者、また地域の人々とのインタラクションが積極的に促されています。
介護老人保健施設(老健)
介護老人保健施設(老健)は、病気や手術からの回復を目指すリハビリテーションを中心に据えた施設です。
医療と介護の両方を受けることができることから、比較的短期間を目的として利用されることが多いです。
介護老人保健施設の居室は定員4人以下の多床室では1人当たり8㎡以上、個室の場合は10.65㎡以上と決められています。
主に短期間のリハビリテーションを目的とした滞在に適した広さとなっています。
居室は20平方メートル未満のことが多く、4人部屋のような大部屋が主流です。
リハビリや治療がスムーズに行えるよう、施設全体としての機能が高く、理学療法士や作業療法士といった専門スタッフが充実しています。
医療に重点を置きながらも、生活機能の回復を図る環境が整っているため、在宅復帰を目指す高齢者とその家族にとって利用しやすい選択肢です。
入所期間が長くなる場合もあるため、しっかりとしたケアプランを立てることが重要です。
軽費老人ホーム
ケアハウスは、軽費老人ホームの一種で、軽費老人ホームC型とも呼ばれています。
ケアハウスの居室は、の最低面積は、単身の場合は21.6m²(13畳)以上、夫婦の場合は31.9m²(19畳)以上とされています。
都市部等において所得が低い高齢者でも入居できるよう家賃等の利用料を低額に抑えた軽費老人ホーム(都市型軽費老人ホーム)の場合は、居室床面積は7.43㎡(4.5畳)以上とされています。
介護施設の居室の広さが生活に与える影響
高齢者が快適に生活を送るために、居室の広さは重要な要素となります。適切な広さがあることで、心理的な安心感や日常生活の質の向上に繋がります。
プライバシーの確保と居室の広さ
居室の広さは個人のプライバシーを確保するために不可欠です。
特に集合生活の場である介護施設においては、個別のプライベートスペースが用意されていることが、精神的な安定に寄与し、入居者が自分の空間でリラックスできる点が強調されます。
また、プライバシーを守ることによって、入居者が人付き合いに対する不安を軽減し、社会的な交流がより良好になっていくことが期待できます。
特に認知症の方が生活する場では、居住空間の広さや設計が、より良い生活環境を整えるためのカギとなります。
家具配置と安全性
居室の広さは家具の配置に大きく影響を与え、居住者の安全性を確保するためのゆとりが生まれます。
居室が狭いと、介護用のベッドや車椅子の動かしやすさに制約が生じたり、転倒リスクが高まる可能性もあります。
そのため、家具の配置は機能的であるだけでなく、安全面を考慮に入れたデザインが重要となります。
こうしたポイントを考慮することは、安全な日常生活を実現するための重要なステップとなり、家族や介護者にとっても安心感を提供します。
活動的で快適な生活の実現
居室の広さがある程度確保されていることで、入居者は活動的で快適な生活を送りやすくなります。
例えば、リハビリのためのストレッチや軽運動を行うスペースがあることで、日常的な身体機能の維持・向上に貢献します。
また、個室であれば自分のペースで趣味に時間を割くことができ、精神的な充実感や自立した生活の充実を図れる機会が増えます。
居住空間が許容する範囲での生活の選択肢が豊富になることは、入居者にとっての大きな利点となります。
まとめ
高齢者向けに最適な介護施設を選ぶには、施設の種類や提供されるサービス、そして居室の広さをしっかりと確認することが重要です。
居室の広さは、生活の質や快適さを大きく左右する要因となります。
適切な広さを持つ居室を選ぶことは、プライバシーを守り、安全で活動的な生活を維持するための大切な一歩です。
候補となる施設を訪問し、実際の居室の広さや生活環境を確認することも忘れずに行いましょう。
あなたや大切なご家族が安心して生活を送れる場所を見つけるために、この記事が参考になれば幸いです。
株式会社サンクル